出版社を探す

角川新書

殉死の構造

著:山本 博文

紙版

内容紹介

江戸時代に社会現象となった殉死は、主君が自然死した場合に家臣や家族など関りがあった者が後を追って自害することを指すが、殉死した多くは主君と近い距離にあった上級武士ではなく、下級武士だったことがわかっている。いったいなぜ下級武士は距離の遠い主のために殉死したのか。殉死は主君の死を悲しみ、死後もお供をするという「忠誠心」によるものと思われがちであるが、そうではない。殉死の本質は、戦争が非日常となった17世紀、戦いに命を懸けることもなくなり、武士、特に体制から疎外された「かぶき者」たちの自己主張のひとつの形であったのだ。さまざまな殉死の実例から、殉死の新解釈に迫った名著復刊。
※本書は、1994年に弘文堂より刊行され、2008年に講談社学術文庫で刊行された『殉死の構造』を復刊したものです。底本には講談社学術文庫版第一刷を使用しました。復刊にあたり、著作権継承者の御了解を得て、改題の他、難読漢字に読み仮名を付すなどの表記上の整理を行いました。

目次

プロローグ「殉死と忠誠心」
一、阿部一族の悲劇
二、憤死としての殉死
三、細川忠利の殉死者
四、細川忠興と光尚の殉死者
五、伊達政宗の殉死者
六、下層の殉死者たち
七、殉死者とかぶき者
八、忠臣蔵の本質
九、武士道の成立事情
エピローグ

著者略歴

著:山本 博文
1957年、岡山県生まれ。東京大学文学部国史学科卒業。文学博士。東京大学史料編纂所教授などを勤めた。1992年『江戸お留守居役の日記』で第40回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。著書は『寛永時代』(吉川弘文館)、『日本史の一級史料』(光文社新書)、『歴史をつかむ技法』(新潮新書)、『流れをつかむ日本の歴史』『武士の人事』(角川新書)など多数。NHK Eテレ「知恵泉」を始め、テレビやラジオにも数多く出演した。2020年逝去。

ISBN:9784040824475
出版社:KADOKAWA
判型:新書
ページ数:256ページ
定価:940円(本体)
発行年月日:2022年09月
発売日:2022年09月09日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JBCC6