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岩波現代文庫 文芸309

アニメーション、折りにふれて

著:高畑 勲

紙版

内容紹介

多くの人に惜しまれつつ2018年にこの世を去ったアニメーション監督・高畑勲。『太陽の王子ホルスの大冒険』から『かぐや姫の物語』にいたるまでの自らの仕事や、影響を受けた人々や作品、苦楽をともにした仲間たちについて縦横に語り、綴ったエッセイをまとめる。巨匠の人間像に幅広く迫る生前最後のエッセイ集、待望の文庫化。

目次

1 日本の文化とその風景
 加藤周一『日本 その心とかたち』をめぐって
 闇と光
 暮らしのそばに農村景観を維持する

2 日本語を話すとき
 蝶々談義
 この世を力いっぱい生きたかった宮澤賢治
 日本語の音韻――アニメーション映画制作から見えてくるもの

3 子どもという存在
 石井桃子さんから学んだこと〈対談 宮崎駿〉――子どもがほんとうに喜ぶ作品をつくる
 子どもの「尊厳」をとらえた稀有な画家,いわさきちひろ

4 一緒にやってきた仲間たち
 タエ子の顔のいわゆる「しわ」について
 わたしの知る井岡さんの画業
 われらが同志,小田部羊一
 寺田寅彦に見せたかった
 里山に開かれた窓
 『火垂るの墓』から,はや二十四年
 追悼・氏家齊一郎
 山本二三さんの美術

5 漫画映画のつくりかた
 今村太平から得たもの
 レイアウトはアニメーション映画制作のキイ・ポイント
 脳裏のイメージと映像のちがいについて

6 尊敬する,刺激しあう
 ジョン・ラセターとピクサーを讃える
 戦争・国境・民族・民俗――バックさんの自伝を読んで
 日本文化への警鐘と愛
 水に落ちたハリネズミはなぜあがかないのか
 「思い残し切符」
 『キリクと魔女』の世界を語る

7 こんな映画をつくってきた
 見習い時代に目撃し,学んだこと
 『赤毛のアン』はユーモア小説
 TVシリーズ「世界名作劇場」のこと
 
8 伝えたい,このこと
 戦争とアニメ映画
 後輩の皆さんへのお願い

9 監督,ある日の姿,ある日の考え
 『竹取物語』とは何か
 ゴキブリ体操
 アニメ映画とフランス
 老人向き
 ホトトギスの謎
 お国自慢
 禁煙レポート

あとがきにかえて
高畑さんの黒い革靴のたくさんの足跡……………片渕須直

著者略歴

著:高畑 勲
高畑 勲(たかはた いさお)
1935ー2018年。アニメーション映画監督。東京大学仏文科卒。1968年『太陽の王子ホルスの大冒険』を初監督。1985年宮崎駿らとスタジオジブリ設立。主な監督・演出作品に、TVシリーズ『アルプスの少女ハイジ』『母をたずねて三千里』『赤毛のアン』、映画『じゃりン子チエ』『火垂るの墓』『おもひでぽろぽろ』『平成狸合戦ぽんぽこ』『ホーホケキョ となりの山田くん』『柳川堀割物語』『かぐや姫の物語』など。著書に、『映画を作りながら考えたこと』『一枚の絵から 日本編・海外編』『君が戦争を欲しないならば』など。

ISBN:9784006023096
出版社:岩波書店
判型:文庫
ページ数:436ページ
定価:900円(本体)
発行年月日:2019年07月
発売日:2019年07月02日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:ATF