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岩波現代文庫 学術455

原子・原子核・原子力

わたしが講義で伝えたかったこと

著:山本 義隆

紙版

内容紹介

福島の原発事故後、撒き散らされた放射性物質の問題はすべての人が避けて通れないものとなった。不確かな情報があふれるなか、自分で物事を判断するためには、原子核と原子力についてのきちんとした知識は必須だ。駿台予備学校での講演にもとづく歴史読み物風の筆致で、基礎からていねいに解説する物理学の入門書。

目次

 はじめに

第1章 原子論のはじまり
1.1 化学原子論/1.2 歴史的な語りについて/1.3 力学のおさらい/1.4 気体分子運動論

第2章 イオンと電子の発見
2.1 重力をめぐって/2.2 電磁気学の初歩/2.3 電気分解の法則/2.4 電子の発見

第3章 X線と放射線の発見
3.1 レントゲンとX線の発見/3.2 ベクレルとキュリー夫妻/3.3 放射線をめぐって/3.4 放射線の人体への影響

第4章 アインシュタインと光子仮説
4.1 光電効果をめぐって/4.2 放射線のエネルギー/4.3 光子の波動性と粒子性/4.4 アインシュタインについて

第5章 原子モデルをめぐって
5.1 有核原子/5.2 原子の古典モデルとその問題点/5.3 ボーアの原子モデル/5.4 一般の原子について/5.5 モーズリーの悲劇

第6章 原子核について
6.1 放射性元素の崩壊/6.2 核物理学のはじまり/6.3 核力と核エネルギー/6.4核分裂と連鎖反応の発見

第7章 原爆と原発
7.1 原子爆弾について/7.2 原発の事故について/7.3 使用済み核燃料の問題/7.4 原発と環境汚染・被曝労働/7.5 放射線の危険について

 あとがき
 現代文庫版へのあとがき
 索引

著者略歴

著:山本 義隆
山本義隆(やまもと よしたか)
1941年大阪生まれ.64年東京大学理学部物理学科卒業.同大学大学院博士課程中退.現在,学校法人駿台予備学校勤務.科学史家.『磁力と重力の発見』全3巻(みすず書房,2003)でパピルス賞・毎日出版文化賞・大佛次郎賞受賞.著書は他に『古典力学の形成』(日本評論社,1997),『一六世紀文化革命』全2巻(みすず書房,2007),『福島の原発事故をめぐって』(同2011),『世界の見方の転換』全3巻(同2014),『近代日本一五〇年――科学技術総力戦体制の破綻』(岩波新書,2018.科学ジャーナリスト賞2019),『小数と対数の発見』(日本評論社,2018.2020年度日本数学会出版賞),『リニア中央新幹線をめぐって』(みすず書房,2021)など.『ニールス・ボーア論文集1,2』(岩波文庫)など訳書も多数.

ISBN:9784006004552
出版社:岩波書店
ページ数:334ページ
定価:1480円(本体)
発行年月日:2022年10月
発売日:2022年10月17日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PDZ
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:PHM