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岩波現代文庫

「鎖国」を見直す

著:荒野 泰典

紙版

内容紹介

江戸時代の日本は「鎖国」ではなく「四つの口(長崎・対馬・蝦夷・琉球)」で世界につながり,開かれていた――著者が提起した「海禁・華夷秩序論」は様々な議論をよび,反発を生みながらも,江戸時代のイメージを塗り替え,通説として定着してきた.著者の長年にわたる研究のエッセンスをわかりやすくまとめた待望の一冊.

目次

第Ⅰ部 「鎖国」を見直す

はじめに

1 見直される「鎖国」――現状と問題点
 一 高校教科書の記述の変化から
 二 高校教科書の記述の問題点

2 「鎖国」という言葉の経歴――誕生・流布・定着の歴史的意味
 一 「鎖国」という言葉の誕生
 二 「鎖国」の評価の変遷
 三 鎖国観定着の意味

3 近世日本の国際関係の実態
 一 近世日本の「四つの口」
 二 長崎口――オランダ・中国との「通商の関係」
 (1)出島と唐人屋敷
 (2)「通商」の意味
 三 対馬口――朝鮮との「通信」の関係
 (1)「通信」の実態
 (2)日朝関係と対馬宗氏
 四 薩摩・琉球口――琉球王国との「通信」の関係
 (1)琉球の大航海時代――一五・一六世紀の琉球と東アジア
 (2)「倭寇的状況」と琉球王国の衰退
 (3)日中「両属」の国琉球
 五 松前口――蝦夷地のアイヌ等との「撫育」の関係

4 東アジアのなかで息づく近世日本――「鎖国」論から「国際関係」論へ
 一 近世日本と東アジアの国際関係――「海禁」と「華夷秩序」を通して見る
 二 近世日本と東アジア国際市場――貿易に見る日本と東アジア

5 鎖国を見直す意味――なぜ歴史は見直されるのか


第Ⅱ部 明治維新と「鎖国・開国」言説――なぜ近世日本が「鎖国」と考えられるようになったのか

1 前口上

2 はじめに――「鎖国・開国」言説ということ

3 近世日本の国際関係の実態
 一 「鎖国」から「四つの口」論へ
 二 「鎖国」論から「海禁・華夷秩序」論へ
 三 「小帝国」近世日本と「海禁」
 四 「海禁・華夷秩序」観から「鎖国・開国」言説へ

4 終わりに――「鎖国・開国」言説の成立と定着


あとがき  177

著者略歴

著:荒野 泰典
荒野泰典(あらの やすのり)
1946年広島県生まれ。1970年東京商船大学卒業。1975年東京大学文学部国史学科卒業。1977年東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。東京大学史料編纂所、立教大学文学部を経て、現在立教大学名誉教授。近世日本対外関係史。著書に『近世日本と東アジア』(東京大学出版会)、『日本の時代史14 江戸幕府と東アジア』(編著、吉川弘文館)、『日本の対外関係』(編著、全七巻、吉川弘文館)、 『近世日本の国際関係と言説』(編著、溪水社)など。

ISBN:9784006004125
出版社:岩波書店
ページ数:190ページ
定価:980円(本体)
発行年月日:2019年12月
発売日:2019年12月15日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:NHF
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1FPJ