岩波現代文庫 学術401
新版 天使の記号学
小さな中世哲学入門
著:山内 志朗
紙版
内容紹介
例えば身体、世間、人間的尺度……。人はつねに媒体とともに生きている。ところが身体を持たない天使に憧れを持つように、媒介なしに断絶を飛び越えたいと願う心もあるのだろう。本書では、肉体、欲望、存在の一義性などの諸問題を考察しながら、中世哲学の本質に挑む。中世の知を、現代社会の中で読み直す名著、待望の文庫化!(解説=北野圭介)
目次
小さなまえがき
序 章 リアリティのゆくえ
第1章 天使の言葉
1 天使に言語は必要なのか
2 天使の言語論
3 言葉の裏切りと他者の裏切り
4 祈りの言葉
5 言葉の受肉
第2章 欲望と快楽の文法
1 現代のグノーシス主義
2 欲望の構造
3 欲望の己有化
4 欲望の充足可能性
5 快楽の技法
第3章 聖霊とコミュニカビリティ
1 コミュニケーションの多層性
2 聖霊論の構図
3 名前とコミュニカビリティ
4 コミュニカビリティの文法
第4章 肉体の現象学
1 魂と肉体
2 身体の聖性
3 身体図式と身体イメージ
4 肉体とハビトゥス
5 肉体と〈かたち〉
第5章 媒介の問題としての〈存在〉
1 媒介と共約不可能性
2 〈存在〉の一義性
3 〈存在〉の中立性
4 偶然なるものの神学
第6章 普遍とリアリティ
1 普遍論争の焦点
2 プロティノスの残照
3 存在と本質
4 普遍から個体へ
5 個体化論の構図
6 〈このもの性〉という深淵
終 章 〈私〉というハビトゥス
参考文献
あとがき
文庫版のためのあとがき
解 説……………北野圭介
索 引