岩波現代文庫 学術397
小林秀雄のこと
著:二宮 正之
紙版
内容紹介
小林秀雄がその生涯を通して追求したものは、懐疑の精神、自己を相対化し続ける知性のあり方であった。外国文学から日本の古典、音楽や絵画といった分野まで、自らの知識に安住せずに、自分自身の知の限界を見極めつつも、新たな出会いを希求し続けた批評家の全体像を伝える本格的評論。芸術選奨文部大臣賞受賞作。
目次
序に代えて――小林秀雄のにがさ
Ⅰ 小林秀雄をよむ
よむ――「叡智」または「知慧」
やくす――小林秀雄と訳すこと
かく――「隨筆的方法」について
みる――死骸について
しんじる――「石」の意味するもの
審美体験・神秘体験――「神秘」と「合理」
からだ――経験談について
時間考
たましい――「魂」の領域
ことば――「無言」の境地
Ⅱ 小林秀雄と西欧作家
ジッドの訳者としての小林秀雄――実に滑稽だ.いや,なかなか面白い.
嫌いになった理由――小林秀雄とアンドレ・ジッド
「窮餘の一策」――小林秀雄とマルセル・プルースト
Ⅲ 日本の歴史の曲がり角に立つ小林秀雄
一 「近代の超克」と『文學界』
二 小林秀雄とその時代
三 小林秀雄と歴史の概念
四 「あたま」と「からだ」
注
岩波現代文庫版あとがき