岩波現代文庫 学術379
哲学の密かな闘い
新版
著:永井 均
目次
0 人 生
■ 悩みのレッスン
Ⅰ 自 己
第1章 〈私〉が存在することの意味
1 〈私〉であるという,他の人間たちと違うあり方をした人間が存在する
2 問いの意味
3 〈私〉が複製された場合
4 〈私〉が分裂した場合
5 どういう場合に〈私〉は存在するのか
6 言葉で表現できない〈私〉と〈今〉
7 〈私〉の死によって失われる〈存在〉
第2章 自己という概念に含まれている矛盾
1 どういう問題か
2 他己もまた自己である
3 カントの「存在論的証明」批判と志向性の問題
4 マクタガートの時間論と反省的・再帰的自己意識の本質
5 自己もまた他己である
■ 自分とは何か――存在の孤独な祝祭
■〈今〉と〈私〉の謎
■翔太と由美の修学旅行
Ⅱ 倫 理
第3章 ニヒリズムとしての哲学
1 根底のニヒリズム
2 善悪は生きる力を与えない
3 しょせん,すべては小さなこと? ――ニヒリズム的円環へ
4 哲学のニヒリズム
5 子どもの哲学的な問いについて
6 なぜ哲学を語るのか
第4章 馬鹿げたことは理にかなっている――社会問題を超える/の根底にある哲学的な問い
1 「罰する」ことの有効性/無効性
2 「罰する」という観念が作り出す/見失わせるもの
3 道徳の可能性/不可能性
4 問題の源泉へ
5 対立する二つのピクチャー
6 哲学とは何か
■「なぜ人を殺してはいけないのか」という問いは哲学的な問いか
■ 主客逆転の問題からの再考
■ 道徳の腹話術
Ⅲ 存 在
第5章 現実性について
1 現在(今)について
2 私について
3 現実について
4 結 語
第6章 なぜ世界は存在するのか――なぜわれわれはこの問いを問うことができないのか
1 ある対話
2 それは「私」でありえようか
3 「存在」は内容を規定する述語ではない
4 懐疑論と志向性――認識論的問題への反映
5 世界が存在しないことは可能か
■ 過去はどこに行っちゃったの?
■ 神様っているのかなあ?
Ⅳ 言 語
第7章 語りえぬものを示す(1)――野矢茂樹『語りえぬものを語る』一八章における私的言語論の批判
1 「E」は意味と真偽を有する有用な公共言語であらざるをえない――一八章の本文における私的言語論の批判
2 血圧上昇感――註1について
3 「感覚E」と「体験E」――註2について
4 隣り合う各人(各時)の心
第8章 語りえぬものを示す(2)――時間を隔てた他者の可能性としての私的言語の可能性
1 問題の前提
2 私的言語は今秘性の不在をどう乗り越えるのか
3 「E」は書かれなければならない
4 噓がつけない言語としての私的言語へ
5 独我論の側から私的言語へ
6 結 語
あとがき
岩波現代文庫版あとがき