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岩波ジュニア新書 981

原発事故,ひとりひとりの記憶

3.11から今に続くこと

著:吉田 千亜

紙版

内容紹介

2011年3月11日。地震、津波、そして原発事故。あれから10年余がたった。その間、福島と東京を往復し、人々の声に耳を傾け、寄り添い、取材を重ねてきた著者があの日から今に続く日々を生きる18人の道のりを、「私が見てきた」ことと共に伝える。それはあの原発事故が何だったかを、浮き彫りにすることでもある。

目次

 はじめに

1章 原発から3kmの双葉町で――「もう帰れないな」と思った
 二〇一一年三月一一日
 浪江町大堀地区・木場さん
 町ごと避難になった双葉町
 原発、爆発......
 人が溢れていた避難所
 「この先は行けません!」
 スクリーニング検査
 双葉町→二本松市→川俣町→さいたま市
 長引く避難生活
 「もう帰れないな」と思った

2章 原発から60kmの郡山市で――母子避難を経て
 「家族」と原発事故
 郡山市の岩田さん
 追い詰められていた母親たち
 「いつ郡山に帰れるだろう」
 放射線量を計測する
 母子避難のリスク
 シングルマザーとして働く

3章 原発から40kmの相馬市で――避難をせず、裁判を闘う
 相馬市の中島さん
 原発事故の賠償
 裁判が始まる
 避けられた事故
 「国の責任を認めない」
 「同じことが繰り返されてしまう」

4章 避難指示が出なかった地域で――地元を測り続ける
 孤独な母親たち
 「お宅の放射線量を測定します」
 安心できる居場所づくり
 まだ、終わっていない......
 郡山市の根本さん
 使えなくなった薪
 まずは疑ってみる

5章 原発から20km圏内で――原発のすぐ近くで活動を続けた人たち
 双葉郡、木村さん。職業、消防士
 津波、到達
 駆けつけられなかった緊援隊
 避難指示、出る
 放射能汚染は、広く、まだらに、そして局所的に
 分散避難、そして原発構内へ
 最悪のシナリオ
 選択できない立場
 家の解体
 不安を抱え続ける

6章 あの原発事故は防げたかもしれなかった
 一〇〇〇年に一度の地震
 たくさんの犠牲で成り立っている
 刑事告訴に踏み切る

7章 原発事故と子どもたち
 天国に行きたい
 次世代に伝えるラジオ
 風化
 「それに触れない」という空気
 私たちはずっと居た

8章 甲状腺がんに罹患した子どもたち――「誰にも言えずに」 「当事者の声を聞いて」
 地震のあとの荒天
 異変
 「誰にも言えなかった」
 甲状腺がん
 「知ってほしい」という思い

9章 区域外避難者たちの苦難――住宅供与の打ち切り
 住宅支援の打ち切り
 長期的な住宅供与の要望
 避難の協同センター
 誰の目線に立つか

10章 原発事故の被害の枠組みを広げる
 避難の権利
 私が見えていますか?
 見捨てられた存在
 甲状腺検査
 どうしたら子どもを守れるか
 「心のケア」の必要性
 過酷な避難生活

 主要参考文献
 おわりに

著者略歴

著:吉田 千亜
吉田千亜(よしだ・ちあ)
1977年生まれ。フリーライター。福島第一原発事故後、被害者・避難者の取材、サポートを続ける。著書に『孤塁 双葉郡消防士たちの3・11』(岩波書店)にて、本田靖春ノンフィクション賞(第42回)、日隅一雄・情報流通促進賞2020大賞、日本ジャーナリスト会議(JCJ)賞を受賞。『ルポ 母子避難――消されゆく原発事故被害者』(岩波新書)、『その後の福島――原発事故後を生きる人々』(人文書院)、共著に『原発避難白書』(人文書院)など。

ISBN:9784005009817
出版社:岩波書店
判型:新書
ページ数:236ページ
定価:960円(本体)
発行年月日:2024年02月
発売日:2024年02月22日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JKS