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岩波新書 新赤版 2008

同性婚と司法

著:千葉 勝美

紙版

内容紹介

元最高裁判事の千葉勝美が、同性婚を認めない現行法の憲法適合性を論じる。同性婚を認めない制度を合憲とするのが現在の判例である。しかし、昨今国内で係属している裁判の一部で、憲法への抵触を宣言するものが出てきている。憲法をどのように解釈すれば同性婚を実現できるのか。同性愛者の尊厳に向き合う、全国民注目の一冊。

目次

 はじめに――同性婚問題との出会い

第一章 日本における多様性、LGBTQ問題のいま
 1 日本における同性愛・同性婚の歴史
 2 LGBTQ問題の国内外の現状
 3 同性婚の本質と個人の尊厳

第二章 日本の五つの同性婚裁判
 1 法律が憲法に違反するということの意味
 2 ばらばらな五つの地裁の憲法判断
 3 平等原則違反とした札幌地裁
 4 全面的に合憲と判断した大阪地裁
 5 違憲状態だが違憲ではないとした東京地裁
 6 憲法二四条二項、一四条一項違反を認めた名古屋地裁
 7 違憲状態だが違憲ではないとした福岡地裁
 8 憲法二四条の壁を乗り越える

第三章 米国の積極的司法とその背景
 1 米国連邦最高裁の同性婚認容判決(ヒント①)
 2 積極的司法を後押ししたもの
 3 米国の平等主義革命――米国最高裁のリベラリズム(ヒント②)
 《コラム》ドレッド・スコット事件
 4 米国の積極的司法から学ぶもの

第四章 日本の積極的司法の先例とその背景
 1 定数訴訟(一票の較差訴訟)(ヒント③)
 2 嫡出でない子法定相続分訴訟(ヒント④)

第五章 同性婚を認めるための二つの憲法解釈の提案
 1 提案その一 同性婚も憲法二四条の婚姻に含まれる
 2 登録パートナーシップ制度のゴールは同性婚か
 3 提案その二 憲法二四条二項の「類推適用」

 おわりに

  注
  あとがき

著者略歴

著:千葉 勝美
千葉勝美(ちば・かつみ)
1946年生まれ
1970年東京大学法学部卒業
1982年判事任官後,最高裁判所民事局長兼行政局長,同首席調査官等を歴任
2009年最高裁判所判事
2017年旭日大緩章を受章
現在―弁護士
著書―『違憲審査――その焦点の定め方』(有斐閣)
   『憲法判例と裁判官の視線――その先に見ていた世界』(有斐閣)
   『判事がメガネをはずすとき――最高裁判事が見続けてきた世界』(日本評論社)
   ほか

ISBN:9784004320081
出版社:岩波書店
判型:新書
ページ数:218ページ
定価:920円(本体)
発行年月日:2024年02月
発売日:2024年02月22日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:LNB