岩波新書 新赤版 1958
いちにち、古典 〈とき〉をめぐる日本文学誌
著:田中 貴子
紙版
内容紹介
誰にも等しく訪れる一日という時間を、見ぬ世の人々はいかに過ごしていたのだろう。暁の別れを描いた『源氏物語』。白昼堂々と跋扈する不気味な強盗。夕暮れに感じる人の命のはかなさ。月や夜景を愛でるこころ。──古典文学のなかの「とき」に眼を凝らし、そこに息づく人々の生きざまや感性を活写する。時を駆ける古典入門!
目次
まえがき
Ⅰ─あさ
鶏が鳴く
暁の別れ
暁は救済のとき
あのひとの・あさ─藤原師輔、出勤す
Ⅱ─ひる
昼食の風景
昼寝の姫君
白昼堂々
あのひとの・ひる─通り過ぎるする男
Ⅲ─ゆう
夕日を観る
彼は誰そ時
夕べは白骨となる
あのひとの・ゆう─高倉院の憂鬱
Ⅳ─よる
葬送の夜
月の顔を見るなかれ
雪と夜景の発見
あのひとの・よる─ある夜の事件
Ⅴ─まよなか
火影が映し出すもの
離魂病と飛ぶもの
こわい嫁入り
あのひとの・まよなか─「鬼」のいる時間
読書案内
図版出典一覧
あとがき