出版社を探す

岩波新書 新赤版 1934

応援消費

社会を動かす力

著:水越 康介

紙版

内容紹介

被災地、好きなブランド、ふるさと納税、推しのアイドル……を消費することで応援しようとする行動が目立っている。このような新しい「お金の使い方」が社会を動かす大きなエネルギーとなっている。利他的な感情と経済の論理が時に対立し、時に協調する新時代のマーケティング思考のメカニズムを解説する。

目次

 はじめに

第1章 応援消費の広まり
 1 応援消費とは何か
 2 応援消費元年――二〇一一年
 3 沈静化――二〇一二年以降
 4 再注目――二〇二〇年
 5 応援消費以前――一九九五年
 6 なぜ消費で応援するのか

第2章 寄付とボランティア
 1 寄付文化のない日本
 2 本当に「寄付文化」はなかったのか
 3 陰徳の文化
 4 ボランティアと贈与のパラドックス
 5 国家と社会に生まれるボランティア
 6 赤い羽根共同募金
 7 ボランティアの自己効用論
 8 交換への志向
 9 NPOの時代
 10 応援消費の理由

第3章 ふるさと納税にみる返礼品競争
 1 ふるさと納税はどのようにして応援消費となったのか
 2 ふるさと納税の発端
 3 ふるさと納税に対する反応
 4 ふるさと納税の開始
 5 寄付としての性格と返礼品の効果
 6 ふるさと納税の成長前夜
 7 ふるさと納税の意味づけの変化
 8 制度の外側にある返礼品
 9 総務省の反転と泉佐野市との対立
 10 純粋な寄付の増加
 11 市場原理の力

第4章 世界における応援消費
 1 世界における消費で応援する行動
 2 バイコットとは何か
 3 バイコットとボイコットを両方行うデュアルコット
 4 バイコットやボイコットに関する世界の動向
 5 バイコットする人々の属性と特徴
 6 日本におけるバイコットの動向

第5章 交換を創り出すマーケティング
 1 マーケティングへの注目
 2 マーケティングの誕生
 3 消費者至上主義と需要創造
 4 依存効果が示すもう一つの需要創造
 5 マーケティング概念の拡張
 6 概念拡張論争と交換
 7 交換としてのマーケティング

第6章 統治性とマーケティング
 1 死の影に対応する応援消費
 2 感染症と管理の様式
 3 統治性と市場原理
 4 マクロ・マーケティング研究における統治性の考察
 5 ソーシャル・マーケティングとの結びつき
 6 統治性とマーケティングの再接続
 7 統治性の緩さを捉える

終 章
 1 消費が応援になる時代の到来
 2 市場と共に生きること
 3 マーケティングを利用すること

 あとがき
 参考文献

著者略歴

著:水越 康介
水越康介(みずこし こうすけ)
1978年生まれ.東京都立大学経済経営学部教授.神戸大学経営学部卒業,神戸大学大学院経営学研究科博士後期課程修了.博士(商学).専門は市場戦略論(マーケティング論),インターネット・マーケティング.2019年より現職.著書に『ソーシャルメディア・マーケティング』(日本経済新聞出版社),『応援消費の謎衽衲消費・寄付・ボランティア』(碩学舎),『マーケティングをつかむ新版』(共著,有斐閣)など.

ISBN:9784004319344
出版社:岩波書店
判型:新書
ページ数:222ページ
定価:880円(本体)
発行年月日:2022年07月
発売日:2022年07月22日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KJS