岩波新書 新赤版 1875
モダン語の世界へ
流行語で探る近現代
著:山室 信一
内容紹介
モボ・モガが闊歩した一九一〇〜三〇年代の日本では、国民の識字率の向上やマスコミの隆盛、日露戦争と第一次世界大戦の勝利など背景に、外来の言葉と文化が爆発的に流れ込んだ。博覧強記で知られる歴史学者が、当時の流行語を軸に、人々の思想や風俗、日本社会の光と影を活写する。『図書』連載のエッセイ、待望の書籍化。
目次
はじめに——ようこそ、モダン語の世界へ
第1章 モダン、そしてモダン語とは?
一 モダンという時代と世界とのつながり/二 文化流入の同時性とモダン・ライフ/三 激動する世界とモダン語
第2章 百花繚乱——モダン語のパノラマ
一 モダン語の二つの眼差し/二 モダン語の作り方/三 モダン語、あれも?これも?
第3章 行き交う言葉と変転する文化
一 変転する食文化の光景/二 憧憬と侮蔑の間で/三 国語と漢語が行き交う中で
第4章 モダンの波頭を切るガール
一 生活文化の変容と女性/二 毛断(モダン)と裳短(モダン)/三 五色譜(ゴシップ)と誤失歩(ゴシップ)そして「お座なりズム」
第5章 モダンを超え、尖端へ、その先へ
一 「アラ現代的」「オヤ尖端的」だわね/二 モダンを超え、その先へ/三 「三S(エス)」時代と流線型(りゅうせんかた)
第6章 エロとグロとその後にくるもの
一 人の本性と欲望/二 グロと犯罪そして卑近美/三 後追いするモダン語、先走るモダン語
第7章 アジア、ローカル、アメリカとの往還
一 世界を巡る言葉、海を渡る人/二 アジア・アフリカからのモダン語/三 地方色と郷土色そして民族色/四 「現代としてのモダン」とアメリカニズム
おわりに——終わりなき「始まりの思詞学」
あとがき
主な資料および参考文献
モダン語辞典一覧/モダン・ガール小辞典