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岩波新書 新赤版 1836

リスクの正体

不安の時代を生き抜くために

著:神里 達博

紙版

内容紹介

新型コロナウイルスの脅威、相次ぐ豪雨災害、首都直下地震の恐怖……。リスク社会化した現代日本において、私たちの日常生活はさまざまな「リスク」「不安」「恐怖」に囲まれている。これらの「不安」とどう向きあっていけばよいのか。科学史・科学論の知見を縦横無尽に駆使しながら、斬新な切り口で考察する。

目次

はしがき

Ⅰ 感染症のリスク
 広がる“COVID─19”——難局をどう乗り切るか
 MERS感染拡大——文明が生んだ不意の一撃
 はしかの流行とワクチン接種
 二六年ぶりに日本に現れた豚コレラ

Ⅱ 自然災害と地球環境のリスク
 御嶽山の突然の噴火
 「宙づりの日々」
 繰り返す豪雨災、力ずくの治水の限界
 地震のリスク——予知より「備え」に智恵を
 未来のリスク
 新潟県糸魚川・アスクル火災の教訓
 ヒアリ騒動を考える
 地球温暖化問題はなぜ難しいか
 地質学と「チバニアン」
 世界の水問題とバーチャル・ウォーター
 災害が多発した二〇一八年
 遅れた台風一五号の被害の把握
 日本列島と自然災害

Ⅲ 新技術とネットワーク社会
 ドローンの功罪
 「シェール革命」と中東の緊張
 人工知能と囲碁
 自動運転車の未来
 「もんじゅ」と「豊洲市場」
 広がる「ポスト真実」
 仮想通貨の理念と課題
 情報化がもたらす変化
 日本の「イノベーション政策」
 「ブロックチェーン」再考
 量子コンピューターの可能性

Ⅳ 市民生活の「安全安心」
 食のリスクとメディア
 ジャーナリズムと行政
 少年犯罪への視線
 老朽インフラ劣化の危機
 バンコク爆破テロとリスク社会
 パリ同時テロの衝撃
 「プロのモラル」
 相模原障害者施設殺傷事件から考える
 映画『シン・ゴジラ』を観て
 高齢ドライバーの事故
 豊洲市場のベンゼン騒動
 現代の「杞憂」
 テロの「恐怖」の拡散
 相次ぐ品質検査の不祥事
 高齢化社会と法医学
 裁量労働制の落とし穴
 四九日も逃走できた理由は
 自己責任論の思想

Ⅴ 時代の節目を読む
 ノーベル賞ラッシュ
 過剰なバッシングのメカニズム
 「ゆとり世代批判」の貧困
 トランプ大統領誕生が意味するもの
 新時代の教育改革
 「冷戦後」の終わり
 ICANのノーベル平和賞受賞と日本
 「失われた三〇年」の正体
 相対化するテレビの地位
 令和フィーバーに思う
 加藤典洋氏の「ねじれ」論
 研究不正——事実と虚構の壁が溶けたか
 「文理融合」の好奇心
 ドラマが描く五輪と国家
 「安全安心」とリスク


あとがき
読書案内/参考文献

著者略歴

著:神里 達博
神里達博(かみさと たつひろ)
1967年生まれ。東京大学工学部卒。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得満期退学。三菱化学生命科学研究所、東京大学・大阪大学特任准教授などを経て、
現在――千葉大学国際教養学部教授、同大学院総合国際学位プログラム長。朝日新聞客員論説委員。
専攻――科学史、科学技術社会論。
著書 ─『食品リスク──BSEとモダニティ』(弘文堂、2005)、『文明探偵の冒険──今は時代の節目なのか』(講談社現代新書、2015)、『ブロックチェーンという世界革命──価値観を根本から変えるテクノロジーの正体とは』(河出書房新社、2019)、『没落する文明』(共著、集英社新書、2012)等。

ISBN:9784004318361
出版社:岩波書店
判型:新書
ページ数:282ページ
定価:880円(本体)
発行年月日:2020年06月
発売日:2020年06月22日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JB