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岩波新書 新赤版 1833

ドキュメント 強権の経済政策

官僚たちのアベノミクス 2

著:軽部 謙介

紙版

内容紹介

国家主導の賃上げや復興法人税の前倒し廃止、内閣人事局の発足、消費税引上げと見送りなどアベノミクスの展開では誰がどう動いていたのか。その際「官邸一強」という権力構造はどう影響したのか。政策誕生の舞台裏に迫った前作に続き、多数のキーマンへのインタビューや非公開資料をもとに、その内部の力学と変質の過程に迫る。

目次

 はじめに

プロローグ
 プリンス動く
 「再任がだめという規定があるのか」
 姿現すひび割れ
 ドンの怒り
 「古き良き時代」

第1章 賃上げ介入
 アベノミクスの忘れ物
 賃金を上げろ
 異例の「意見交換会」
 誰が担ぐのか
 風で動く国
 就職活動解禁問題
 組合への怨念
 気乗り薄の首相
 戦線統一会議

第2章 内閣人事局の船出
 安倍の秘蔵っ子
 机上の空論
 人事院の抵抗
 「各省に圧力をかける」
 仕切りは誰が

第3章 「政労使」発足めぐる攻防
 一つのアイデア
 財界包囲網づくり
 カブキプレー
 「文句があっても協力せよ」
 認識ギャップ
 官製春闘
 財務官僚たちの危機感
 あり得ない話
 「場内アナウンス」
 インナー会議では
 枠がはめられた
 「合意」ではなく
 「瑞穂の国の資本主義」
 主語は誰だ?

第4章 消費税増税延期へ
 空前の出来事
 ある財務官僚の奔走
 電話一本で
 「循環がうまくいっていない」
 最低賃金再び
 突然の「新三本の矢」
 揺らぐ「官庁の中の官庁」

第5章 「一強」政権下の日銀
 ざわつく行内
 五つの行動原則
 極秘文書
 意見の相違
 官邸との距離

第6章 「為替市場に介入せよ」
 為替条項
 事実上骨抜きに
 円安確信犯
 三つの基準
 政治主導の限界
 三者会談

第7章 伝統か、非伝統か
 不評のマイナス金利
 「共同声明」見直し論
 企画されたコミュニケーション
 消費税引上げの教訓

エピローグ
 海図なき航海
 変節なのか、進化なのか
 時代は回る

 あとがき
 主要参考文献

著者略歴

著:軽部 謙介
軽部謙介(かるべ けんすけ)
ジャーナリスト・帝京大学経済学部教授。
1955年東京都生まれ。
1979年早稲田大学卒業後、時事通信社入社。社会部、福岡支社、那覇支局、経済部、ワシントン特派員、経済部次長、ワシントン支局長、ニューヨーク総局長、編集局次長、解説委員長等を経て、2020年4月より現職。
著書──『Political Appointees』(フリープレス)『日米コメ交渉』(中公新書、農業ジャーナリスト賞受賞)『検証経済失政』(共著)『ドキュメント 機密公電』『ドキュメント ゼロ金利』『ドキュメント 沖縄経済処分』『検証 バブル失政』(以上、岩波書店)、『ドキュメント アメリカの金権政治』『官僚たちのアベノミクス』(以上、岩波新書)

ISBN:9784004318330
出版社:岩波書店
判型:新書
ページ数:270ページ
定価:860円(本体)
発行年月日:2020年06月
発売日:2020年06月22日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KCZ