岩波新書 新赤版1575
村上春樹は、むずかしい
著:加藤 典洋
紙版
目次
はじめに 野球帽をかぶった文学?
第1部 否定性のゆくえ 1979─87年
Ⅰ 否定性と悲哀──『風の歌を聴け』の画期性
1 肯定性の肯定──「気分が良くて何が悪い?」
2 「新しい天使」と風の歌
Ⅱ 戦う小説家──初期
3 中国へのまなざし──「中国行きのスロウ・ボート」
4 貧しい人々と小さな隣人──「貧乏な叔母さんの話」
5 「内ゲバ」の死者への関心──「ニューヨーク炭鉱の悲劇」
Ⅲ 個の世界──前期
6 ポストモダン社会と抵抗──「パン屋襲撃」と「パン屋再襲撃」
7 否定性から内閉性へ──『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』と「ファミリー・アフェア」
第2部 磁石のきかない世界で 1987─99年
Ⅳ 対の世界──中期
8 恋愛小説の誕生──『ノルウェイの森』
9 『ねじまき鳥クロニクル』の歴史記述
Ⅴ 時代とのせめぎあい──転換期
10 一九九五年の態度変更──「めくらやなぎと、眠る女」
11 村上春樹、武装解除される──『アンダーグラウンド』
第3部 闇の奥へ 1999─2010年
Ⅵ 父と子の基軸──後期
12 もっと小さく、もっと遠く。──『スプートニクの恋人』と『神の子どもたちはみな踊る』
13 換喩と異界と「全体的な喩」──『海辺のカフカ』と『アフターダーク』
14 まだ書き終えられていないこと──『1Q84』
終りに 「大きな主題」と「小さな主題」──三・一一以後の展開
あとがき