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岩波新書 新赤版1502

〈運ぶヒト〉の人類学

著:川田 順造

紙版

目次

1 なぜ、「運ぶヒト」か?
 ヒトはアフリカで生まれ、世界にひろがった
 アフリカを出たとき、どうやってものを運んだのだろう?
 直立二足歩行が、「運ぶ」ことを可能にした
 直立二足歩行のはじまりは?
 頭蓋骨から推定できる二足歩行
 だが、そもそもヒトのはじまりは?
 これもヒトだけの特徴「二重分節言語」
 では、ホモ・ポルターンスを研究する方法は?

2 文化の三角測量
 文化を比較する二つの方法
 轆轤を逆にまわす
 日本での琵琶の普及
 風が吹けば桶屋が儲かる
  「はたらく」よろこび? それとも経済外的強制?
 労働をねぎらい、励ます言葉が豊かなモシ社会
 自己主張のつよさ
 市で活き活きとするヨメたち
 地縁組織の弱さ
 人間と道具の関係で比較すると
 アフリカ式溶鉱炉
 夏雨型農耕と冬雨型農耕
 前屈したままでの除草の方がラク?
 冬雨型のフランスではアザミ除去に一苦労
 文化の比較から、「身体技法」の比較へ

3 「身体技法」としての運び方
 身体と文化
 身体技法の集合としての「おこない」
 モノとのかかわりでの身体技法
  「運ぶ文化」にとっての生態学と働態学
 二重分節言語の条件
 運ぶ行為における、身体と道具
 西アフリカ黒人の身体特徴
 育児法などとの関連
 運搬法にみる三つの指向性
 前頭帯運搬の系譜は
 黒人、白人、黄人にみる運搬具の共通点と差違

4 「技術文化」と運搬法
 技術文化の指向性
 ヒトと道具──三つのモデル
 道具をまたがない日本の職人
 前頭帯と棒運搬をめぐる文化
 石器文化の西と東、竹の文化は?
  「朸」が提起する問題
 棒でかつぐ運搬の日本での異常な発達
 中国でも多様だった棒運搬
 三文化における「履き物」
 背負い運搬における重心の高低
 人力以外の動力活用への指向
 日本の川船輸送との比較で
 蒸気機関以後

5 「運ぶヒト」のゆくえ
 はじめどうやってモノを運んだか、再び
 頭上運搬の移り変わり
 より効率のよい運び方へ
 現代日本における身体技法
  「ナンバ歩き」
  「グローバル化」とは?
 グローバル化のはじまり
 進歩をめぐる楽観から、先の見えない悲観へ
 エスニックとグローバルのあいだ
 モノ運びの仮想パレード
 メキシコの少年らのグループ
 フランスのグループ
 いま、アフリカでは
  「運ぶヒト」の原点に帰って

参考文献
図版出典一覧

著者略歴

著:川田 順造
川田順造 (かわだじゅんぞう)
1934年東京生まれ.東京大学教養学科文化人類学分科卒業.パリ第5大学民族学博士.東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授等を経て,現在,神奈川大学特別招聘教授,同大学日本常民文化研究所客員研究員.文化功労者.著書,『曠野から』『サバンナの博物誌』『無文字社会の歴史』『聲』『口頭伝承論』『人類学的認識論のために』ほか.訳書,レヴィーストロース『悲しき熱帯』『月の裏側』ほか.

ISBN:9784004315025
出版社:岩波書店
判型:新書
ページ数:240ページ
定価:720円(本体)
発行年月日:2014年09月
発売日:2014年09月19日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JBCC