岩波新書 新赤版1497
食と農でつなぐ
福島から
著:塩谷 弘康
著:岩崎 由美子
目次
プロローグ
震災直後の福島大学で/大学ができる支援とは/これは誰がつくったの?
第一章 手探りの三年間
1 凍み大根からの模索
避難者の思い/キーパーソンは学生と女性農業者/ 「かーちゃん」たちをつなぎなおす/独自基準二〇ベクレル/ 「結もち」の喜び/食の縁が結ぶ
2 縁からネットワークへ
協議会の結成/自分たちで測る/試作品づくりと研修/ 「将来的な自立と雇用」/一般社団法人の設立へ/産直カフェ「わぃわぃ」の開店/三年間でつないだもの/走りながら、迷いながら
第二章 遠のくふるさと、近づく決断のとき
1 原発災害は終わらない
原発災害がもたらしたもの/多様な被災者・避難者/政治家・専門家不信/拡がる分裂と分断/進まない除染/ 「復興の加速」の下で/戻らない・戻りたい・戻れない/一ミリシーベルトの苦悩
2 暮らしの立て直し──制度と実態と
損害賠償と生活支援/直接請求、和解仲介、訴訟/先細りする損害賠償/いつまで避難者のままなのか/食の安全と営農の再開/不安とストレスの増大/子ども・母親・学校/ 「避難する権利」と「主権者としての権利」
第三章 かーちゃんたちの生きかた
1 阿武隈地域のかーちゃんたち
福島県阿武隈地域/女性による地域づくり/農村女性起業/農村女性起業の前史/農家の「嫁」たち/法人化のかたち/近年の傾向/オルタナティブワーク/食と農の分断を乗り越える
2 それぞれの場所で──壊された地産地消と、新たなつながりと
福島市の果樹園で/ 「いで湯とくだものの里」/大熊町のアグリママは、今/帰還を迎えた川内村/餅/しそ巻きづくりの工房で/西会津、キノコからカフェへ/仮設住宅の手仕事起業/飯舘おこし酒を喜多方市で/どぶろく造り再び
第四章 「食」にこめるもの
1 あぶくま茶屋から──ふるさとを離れてふるさとをつなぐ
渡邊とみ子さん(飯舘村)/高橋トク子さん(飯舘村)/五十嵐裕子さん(福島市)/渡辺文子さん(川俣町山木屋地区)/石井絹江さん(浪江町津島地区)/葛尾のかーちゃんたち
2 食の力に願いをこめる
地元のまちづくりNPO/農産品育成者/ 「せっつぁいもん」にこめた願い/ 「なな色の空」からの野菜支援/湘南市民の共同購入/ワーカーズコープ/農業科高校生のバーチャルカンパニー/つなぐ人びとは何を託すのか
エピローグ──福島から見える日本
希望の種/長靴持参の料理教室/消費者との新たな関係づくり/被災者が支える/何のための自立か/ 「こころざし」とビジネスのバランス/自前のものさしづくり/小さな六次産業化/開かれたコミュニティへ
あとがき