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岩波新書 新赤版965

刀狩り

武器を封印した民衆

著:藤木 久志

紙版

目次

プロローグ──丸腰の民衆像を超えて

  小説『海鳴りの底から』によせて/天草からの手紙/武器を農具に/武具狩りへの夢/宣教師のみた帯刀習俗/映画「七人の侍」によせて/刀狩りをみる目/三つの刀狩り/中世ドイツ農民の武装権/「強大な国家、みじめな民衆」像を疑う

Ⅰ 中世の村の武力

 1 刀の習俗

  中世の村はなぜ武装したか──四つの武装/自検断の暴力/刀は成人した男たちのしるし/刀指の祝い/刀を指す少年たち

 2 村の武器の断面

  百姓たちの武器/村のサムライとカマサシ/戦国の村の鉄砲

 3 脇指の習俗

  村人の脇指を奪う/近世の村の脇指取り①/近世の村の脇指取り②

Ⅱ 秀吉の刀狩令を読む

 1 刀狩令書を読む

  特大な刀狩令書/刀狩令を読み解く──第一条/刀狩令を読み解く──第二条/刀狩令を読み解く──第三条

 2 刀狩りの伝承と大仏

  刀狩りの故事/柴田勝家の刀狩り伝承/刀狩りの噂を読む/説得の決め手は大仏/宣教師のみた刀狩り/中世の刀と大仏/焦点は刀に

 3 原刀狩令の発見

  原刀狩令を探る/原刀狩令の裾野で/高野山の刀狩り/無血の刀狩りを演出する/山城の原刀狩り/武具は預ける/秀吉の鉄砲所持禁止令

 4 秀吉の惣無事令

  九州の平和令/領土裁定──国分け案の提示/「九州征伐」へ/関東・奥両国惣無事令

Ⅲ 刀狩りの広がり

 1 東国の刀狩り

  美濃の刀さらえ/加賀の刀狩り/刀狩りの監察意見/町人をどうするか/前田利家の刀狩り/村まかせの刀狩り/若狭の刀狩り──害獣駆除の武器は免許/甲斐の刀狩り

 2 西国の刀狩り

  中国地方の刀狩り/出雲の刀狩り/島津領の刀狩り/筑後・肥前の刀狩り

 3 奥羽の刀狩り

  奥羽刀狩りの原則/刀狩りが白河関を越える/一揆の武装解除と刀狩り/北奥の刀狩り

 4 再刀狩りはじまる──朝鮮侵略期の刀狩り

  高野山の再刀狩り/侵略拠点九州の刀狩り/フロイスのみた刀狩り/フロイスの情報①/フロイスの情報②/フロイスの情報③/フロイスの情報④/関ケ原合戦の戦場から

Ⅳ 秀吉の平和

 1 浪人停止令

  村の浪人を追い出せ

 2 海賊停止令

  海の刀狩令/海民を掌握する/海の平和へ/倭寇を禁止する/中国貿易へのまなざし

 3 秀吉の「村の平和」令

  喧嘩停止令の発見──判例①/喧嘩停止令の判例②/喧嘩停止令の判例③/村の平和令/村の刃傷を自主回避する

 4 徳川の喧嘩停止令

  徳川喧嘩停止令の発令/近江の村々の武力/徳川喧嘩停止令の再令/喧嘩停止令の広がり

Ⅴ 徳川の平和、刀狩りの行方

 1 徳川の刀狩り事情

  徳川は刀狩令を継承したか/大名法のなかの刀狩り/村の名刀狩り

 2 細川氏の刀狩り

  刀狩りと撤回/日本の武具狩りの夢

 3 身分制御のプログラム

  髪・ひげ・刀/見分けられる身分へ/長脇指の規制

 4 江戸町人の帯刀事情

  江戸の町触れ/江戸町年寄の証言/惣町人刀停止令/脇指の街角

 5 村の帯刀事情

  尾張藩の村では/越前藩・徳島藩の村では/百姓に不似合い/村の帯刀事情/帯刀権を献金で買う

 6 村の鉄砲の世界

  幕府の諸国鉄砲改めの現実/村の鉄砲規制の初令を探る/鉄砲改めの本格化/生類憐み令と全国鉄砲改め/鉄砲改めは百姓の武装解除令か/享保の鉄砲改め/山村の鉄砲/武器から農具への変身を歎く/天保の関八州鉄砲改め/村の悪党と鉄砲/百姓一揆と鉄砲不使用の原則/発砲の衝撃/「あえて人命を損なう得物は持たず」

 7 幕末の村の武器事情

  逸脱の暴力の世紀へ/幕末出羽の村の農兵/農兵の武器はどこから来たか/関東天領の農兵/武州世直騒動の発砲/戊辰戦争の村の武力

Ⅵ 近代の刀狩りを追う

 1 廃刀令以前

  百姓・町人の帯刀廃止令/廃刀随意令の提案/廃刀随意令の完全否決/農工商の勝手な帯刀を禁止する/庶民の帯刀禁止令をどうみるか/散髪・脱刀勝手令/ジャンギリ頭をたたいてみれば/発砲規制の深まり/明治五年の銃砲取締規則/兵農合一論の登場

 2 廃刀令以後

  帯刀禁止令──俗称「廃刀令」/廃刀令の現実/陸軍省上申と武装抵抗権論/司法省の実務上の見解/廃刀令は「平民、帯刀の禁」もふくむ/武装解除ではなかった廃刀令/帯刀は軍・警・官の身分表象に

 3 マッカーサーの刀狩り

  日本占領軍の刀狩り始まる/日本政府の刀狩り提案/市民の武装解除方針きまる/市民の武装解除の現場から/全国の武器没収のあらまし/接収された武器は動輪に、海中へ/赤羽刀のゆくえ/銃砲等所持禁止令/「剣を鋤に、銃を薪に」/「銃砲刀剣類等所持取締令」から「銃砲刀剣類所持等取締法」(銃刀法)へ/「銃刀法」下の膨大な刀

エピローグ──武装解除論から武器封印論へ

  松永貞徳の感慨/武器の所持と凍結/素肌・丸腰の武器感覚/鉄砲をすてた日本人/ヨーロッパの刀狩り

   あとがき

    参照した論著の一覧

ISBN:9784004309659
出版社:岩波書店
判型:新書
ページ数:224ページ
定価:1060円(本体)
発行年月日:2005年08月
発売日:2005年08月19日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:NHF
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1FPJ