岩波新書 新赤版703
原発事故はなぜくりかえすのか
著:高木 仁三郎
紙版
内容紹介
原発と闘い続けた市民科学者の最後の言葉
目次
はじめに
臨界事故/青い閃光/八月六日/峠三吉の詩/饒舌な報告書
1 議論なし、批判なし、思想なし
安全神話の崩壊/安全文化/原子力文化/安全第一/自己点検のなさ/原子力産業の状況/さまざまな用途の研究/相互批判なし/議論なし、思想なし/原子力の導入の歴史/原子力村の形成/奇妙なブーム/ある経験
2 押しつけられた運命共同体
国家まかせ/大事故の評価/トップダウン型の開発/サッカーにたとえると/ 「三ない主義」/ 「我が国」という発想/マイ・カントリー
3 放射能を知らない原子力屋さん
バケツにウランの衝撃/物理屋さんと化学屋さん/放射化学屋の感覚/物理屋さんの感覚/自分の手で扱う/放射能は計算したより漏れ易い/事故調査委員会も化学抜き
4 個人の中に見る「公」のなさ
パブリックな「私」/普遍性と没主体性/公益性と普遍性/仏師の公共性/技術の基本/原子力は特殊?/科学技術庁のいう公益性
5 自己検証のなさ
自己検証のない原子力産業/自己に対する甘さ/自己検証型と防衛型/委員会への誘われ方/結論を内包した委員会/アカウンタビリティー/寄せ集め技術の危険性
6 隠蔽から改ざんへ
隠蔽の時代/質的転換/技術にあってはならない改ざん/技術者なし
7 技術者像の変貌
物の確かな感触/ヴァーチャルな世界/倫理的なバリアの欠如/新しい時代の技術者倫理綱領
8 技術の向かうべきところ
トーンを変えた政府/JCOの事故の意味/技術の極致/現代技術の非武装化
あとがきにかえて
友へ 高木仁三郎からの最後のメッセージ/高木さんを送る
高木仁三郎・年譜