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岩波文庫 青621-4

精選 神学大全 法論 2

著:トマス・アクィナス
訳:稲垣 良典
著:山本 芳久

紙版

内容紹介

トマス・アクィナス(1225頃-1274)は、中世を代表する哲学・神学者。生涯を賭けた集大成が『神学大全』。聳え立つ壮大なゴシック大聖堂に例えられる通り 読者を仰がせた。全体から人間、神、キリスト論を初めて精選。叡智の構築物への扉を開く。2は人間論から「法」論と「恩寵」論を収める(全四巻)。

目次

  凡 例

  創文社版(第十三冊)の凡例
  創文社版(第十四冊)のまえがき

第二部の第一部

 第九十問題 法の本質について
  第一項 法は理性に属するところの何ものかであるか
  第二項 法は常に共通善に秩序づけられているか
  第三項 いかなる人の理性も法を創出しうるか
  第四項 公布は法の本質に属することであるか

 第九十一問題 法の多様性について
  第一項 永遠法なるものがあるか
  第二項 われわれのうちに自然法なるものがあるか
  第三項 人定法なるものがあるか
  第四項 神法なるものの存在は必要であったか
  第五項 神法は一つのみであるか
  第六項 邪欲の法なるものがあるか

 第九十二問題 法の効果について
  第一項 法の効果は人々を善き者たらしめることであるか
  第二項 法の働きの区分は適切であるか

 第九十三問題 永遠法について
  第一項 永遠法は神のうちに在る最高の理念であるか
  第二項 永遠法は万人に知られているか
  第三項 法はすべて永遠法から導き出されるか
  第四項 必然的かつ永遠的なるものは永遠法の下にあるか
  第五項 自然界の諸々の偶然的事実は永遠法の下にあるか
  第六項 人間界の出来事はすべて永遠法の下にあるか

 第九十四問題 自然法について
  第一項 自然法は習慣・能力態であるか
  第二項 自然法は数多の規定をふくむか、あるいはただ一つだけか
  第三項 徳の行為はすべて自然法に属するか
  第四項 自然法は万人において一つであるか
  第五項 自然法は改変されることが可能か
  第六項 自然法が人間の心から抹殺されることがありうるか

 第九十五問題 人定法それ自体について
  第一項 人間によって何らかの法が定められることは有益であったか
  第二項 人間によって制定された法はすべて自然法から導出されたものであるか
  第三項 イシドールスは実定法の特質を適切に記述しているか
  第四項 イシドールスは人定法の区分を適切に行っているか

 第九十六問題 人定法の権能について
  第一項 人定法は特殊的な仕方ではなく全般的な仕方で制定されるべきであるか
  第二項 すべての悪徳を抑止することは人定法の機能であるか
  第三項 人定法はすべての徳の行為を命ずるか
  第四項 人定法は良心の法廷において人間を拘束するか
  第五項 すべての者が法の下にあるか
  第六項 法の下にある者が法の字句からはずれて行為することが許されるか

 第九十七問題 法の改変について
  第一項 人定法は何らかの仕方で改変されるべきか
  第二項 人定法は何かよりよいものを思いついたたびに常に改変すべきであるか
  第三項 慣習が法の力を獲得することが可能か
  第四項 人民の支配者たちは人定法に関して免除を与えることができるか

 第九十八問題 旧法について
  第一項 旧法は善いものであったか
  第二項 旧法は神からのものであったか
  第三項 旧法は天使たちを通じて授けられたのであるか
  第四項 旧法はユダヤの民だけに授けられるべきであったか
  第五項 すべての人が旧法を守る責務があったか
  第六項 旧法がモーセの時代に授けられたのは適当であったか

 第九十九問題 旧法の規定について
  第一項 旧法にはただ一つの規定がふくまれているか
  第二項 旧法は倫理的規定をふくんでいるか
  第三項 旧法は倫理的規定の他に祭儀的規定をふくんでいるか
  第四項 倫理的および祭儀的規定の他に司法的規定なるものもあるか
  第五項 旧法には倫理的、祭儀的および司法的規定の他にも、何か別の規定がふくまれているか
  第六項 旧法は現世的な約束や威嚇によって規定の遵守へと誘導すべきであったか

 第百問題 旧法の倫理的規定について
  第一項 倫理的規定のすべてが自然法に属するか
  第二項 律法の倫理的規定は諸々の徳のすべての行為にかかわっているか
  第三項 旧法の倫理的規定のすべてが十戒の十個の規定に還元されるか
  第四項 十戒の諸規定は適切に区別されているか
  第五項 十戒の諸規定は適切に枚挙されているか
  第六項 十戒の十個の規定は適当な順序に置かれているか
  第七項 十戒の諸規定ののべ方は適切であるか
  第八項 十戒の諸規定からの免除は可能であるか
  第九項 有徳な在り方は律法の規定のもとにふくまれるか
  第十項 愛の在り方は神法の規定のもとにふくまれるか
  第十一項 十戒以外の律法の倫理的規定は適当に区別されているか
  第十二項 旧法の倫理的規定は人を義としたか

 第百六問題 新法と呼ばれる福音の法――それ自体における考察
  第一項 新法は成文法であるか
  第二項 新法は義とするか
  第三項 新法は世の始めに与えられるべきであったか
  第四項 新法は世の終りまで持続するか

 第百七問題 新法と旧法の比較について
  第一項 新法は旧法とは異なった法であるか
  第二項 新法は旧法を成就するか
  第三項 新法は旧法のうちにふくまれているか
  第四項 新法は旧法よりもより重荷であるか

 第百八問題 新法の内容について
  第一項 新法は何らかの外的行為を命令あるいは禁止すべきであるか
  第二項 新法は外的行為を充分な仕方で秩序づけていたか
  第三項 新法は人間を内的行為に関して充分な仕方で秩序づけたか
  第四項 新法においては何らかの明確な勧告が適切な仕方で提示されているか

 第百九問題 恩寵の必要性について
  第一項 人は恩寵なしに何らかの真なることを認識しうるか
  第二項 人は恩寵なしに善を意志し、為すことが可能か
  第三項 人は恩寵なしに自然本性的能力のみによって神をすべてに超えて愛することができるか
  第四項 人は恩寵なしに自らの自然本性的能力によって法の掟を全うすることができるか
  第五項 人は恩寵なしに永遠の生命を報いとして得ることができるか
  第六項 人は恩寵の外的扶助なしに、自分自身によって自らを恩寵へと準備することができるか
  第七項 人は恩寵の扶助なしに罪から立ち直ることができるか
  第八項 人は恩寵なしに罪を犯さないことが可能か
  第九項 すでに恩寵を得た人間は、恩寵の他の扶助なしに、自力で善を為し罪を避けることが可能か
  第十項 恩寵のうちに確立された人間は堅忍するために恩寵の扶助を必要とするか

   訳 註(稲垣良典)
   解 説(山本芳久)
   索 引(上遠野翔編)

著者略歴

著:トマス・アクィナス
トマス・アクィナス
1225頃 1274年。中世ヨーロッパの神学者、哲学者。ドミニコ会士。『神学大全』を始めとする膨大な著作を残した。
訳:稲垣 良典
稲垣 良典(イナガキ リョウスケ)
1928―2022年。中世哲学研究者。九州大学名誉教授。2013年、『神学大全』の翻訳で毎日出版文化賞。著作に『現代カトリシズムの思想』(1971、岩波新書)、『恵みの時』(1988、創文社)など。
著:山本 芳久
山本 芳久(ヤマモト ヨシヒサ)
1973年生まれ。哲学・倫理学専攻。東京大学大学院総合文化研究科教授。著作に、『トマス・アクィナス 肯定の哲学』『トマス・アクィナス 理性と神秘』など。

ISBN:9784003362143
出版社:岩波書店
ページ数:604ページ
定価:1560円(本体)
発行年月日:2024年02月
発売日:2024年02月17日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:QDHF
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:QDX