新版 中絶と避妊の政治学
戦後日本のリプロダクション政策
著:ティアナ・ノーグレン
他訳:岩本 美砂子
他訳:塚原 久美
内容紹介
中絶合法化=1948年、ピル解禁=1999年。なぜ日本では避妊よりも「まず中絶」だったのか?世界的にも特異な政策が生み出された政治的な構造とは。戦後日本が直面した人口増をめぐる産科医ら医師団体と宗教団体の攻防、女性運動など利益集団と国家アクターの駆け引きから、現在に続く生殖についての制度を設計する政治過程を描きだす。
目次
新版へのまえがき女性をアクターとする政治過程を(岩本美砂子)
凡例
はじめに
第1章 序論
なぜ避妊より中絶を優先したのか?
分析方法
第2章 利益をめぐる政治
第3章 お国のために──戦前の中絶・避妊政策
一九三〇年以前の中絶・避妊政策
日本、戦争に突入──優生学と「産めよ殖やせよ」
第4章 日本における人工妊娠中絶の合法化──国の利益と専門家の利益の合致
一九四七年の優生保護法案
医師の利益と一九四八年の優生保護法
優生保護法の改正
第5章 中絶の政治──優生保護法を改定する運動(一九五二~二〇〇〇年)
反中絶運動の起源
第一次優生保護法改正運動(一九六七~七四年)
第二次優生保護法改正運動(一九八二~八三年)
追記──一九九六年の優生保護法改正
第6章 産児制限よりも中絶──日本の避妊政策(一九四五~六〇年)
避妊政策と占領期の産児制限に関するエリート対大衆のイデオロギー(一九四五~五二年)
一九五〇年代の家族計画運動
第7章 ピルの政治学(一九九五~二〇〇〇年)
日本国外のピルをめぐる歴史と政治
一九六〇年代のピルをめぐる日本の政治
一九七〇年代の「ピル論争」
一九八〇年代と九〇年代のピルをめぐる政治
結論
第8章 結論
文献一覧
付録資料
解説(岩本美砂子)
新版への訳者追記二〇二二年、日本の中絶・世界の中絶(塚原久美)
索引