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アセンブリ

新たな民主主義の編成

著:アントニオ・ネグリ
著:マイケル・ハート
他訳:水嶋 一憲

紙版

内容紹介

マルチチュードよ、自らの民主主義のための起業家となれ! 抑圧や専制に抵抗するだけでなく、真に自由で公正な社会を築くための集合=集会(アセンブリ)とは。金融資本の台頭による〈共〉の搾取と、広場を占拠する新たな運動の拡大——時代のうねりを受け止め、解放へのヴィジョンを描き出す。ネグリ=ハートの到達点。

目次

 序

■第一部 指導(リーダーシップ)という問題

 第一章 指導者(リーダー)はどこへ行った
  コミューン派の「誤り」
  「指導(リーダーシップ)への批判=組織と制度の拒否」という誤った想定
  歴史的転換の徴候としての指導者(リーダー)なき運動

 第二章 ケンタウロスの戦略と戦術
  過去の革命のミュージアム
  第一の呼びかけ──運動に戦略[立案の役割]を
  運動の党?

 第三章 反ルソー、あるいは主権と訣別するために
  代表制への批判
  構成的権力[=憲法制定権力]への批判
  第二の呼びかけ ── 非主権的制度を発明せよ
  第一の応答 ──政治的プロジェクトを社会的生によって基礎づけよ
   政治的なものの自律性に抗して

 第四章 右翼運動という暗い鏡
  人民の統一性を回復するために
  ポピュリズムと人種化された所有
  宗教的アイデンティティの暴力
   豊かさとしての貧しさ

 第五章 本当の問題は別のところにある
  堰(ダム)を打ち壊せ!
  第二の応答──協働的連合の多元的存在論を求めよ
  第三の呼びかけ──権力を奪取せよ、しかしこれまでとは別の仕方で
   『資本論』に抗するマルクス主義

■第二部 社会的生産
「下から」とは何を意味するのか

 第六章 いかにして所有を〈共(コモン)〉へと開くか
  諸権利の束
  労働の社会的所有
  第三の応答──〈共(コモン)〉は所有財産ではない
  蜂の寓話、または〈共(コモン)〉の情念=情熱(パ ッション)

 第七章 われら機械状主体
  人間と機械の関係
  資本の構成の変化
  第四の呼びかけ──固定資本を取り戻せ(「人間それ自身がこの固定資本なのである」)
  機械状主体性

 第八章 反転したヴェーバー
  ヴェーバーの夢とカフカの悪夢
  怒リモ不公平モナク
  デジタル・テイラー主義
  第四の応答──国家を粉砕せよ
   中央ヨーロッパ(ミッテルオイローパ)の終焉

 第九章 マルチチュードの起業家活動(アントレプレナーシップ)
  いかにして起業家になるか
  第五の呼びかけ ──マルチチュードの「起業家活動(アントレプレナーシップ)」
  社会的生産→社会的ユニオン→社会ストライキ
   翻訳としての言葉の奪取

■第三部 金融の指令と新自由主義のガバナンス

 第一〇章 金融は社会的価値を捕獲する
  上からの金融と下からの金融
  分離/採取
  採取の多面性
  社会的生産から金融へ
  社会的工場内のロジスティクスとインフラ
   マルクス主義論争1── 本源的蓄積

 第一一章 貨幣は社会関係を制度化する
  貨幣とは何か、またそれはどのように支配するのか?
   客観精神
  私的所有とその脱物質化について
  危機は下から発生する
   マルクス主義論争2──危機= 恐慌

 第一二章 失調する[=蝶番から外れた]新自由主義的行政管理
  新自由主義的自由
  新自由主義的行政管理の危機点
  公権力の空洞化
  第五の応答 ── 強力な主体性を生産せよ

■第四部 新しい〈君主〉

 第一三章 政治的リアリズム
  権力は二番目にくる
  〈共(コモン)〉が最初にくる
  ゼネラル・ストライキ
   中道の過激主義

 第一四章 不可能な改革主義
  システムを修理する
  対抗権力を設立する
  戦争の煙霧の中の憤怒
   〈帝国〉の今日

 第一五章 そして、いま何を?
  鍛冶神ヘーパイストスがマルチチュードを武装させる
  三つの顔を持つディオニュソスが〈共コモン〉を統治する
  ヘルメスが〈共コモン〉の硬貨を鋳造する

 第一六章 羅針儀海図
  富
  制度
  組織(化)
  勧告

 謝辞
 註
 訳者あとがき
 人名索引

著者略歴

著:アントニオ・ネグリ
アントニオ・ネグリ(Antonio Negri)
1933年生まれ.イタリアのマルクス主義社会学者,政治学者,活動家.元パドヴァ大学社会科学研究所教授.1970年代にアウトノミア運動の中心人物として活躍するが,79年にテロへの関与の嫌疑で逮捕・投獄される.83年にフランスへ亡命,研究・執筆活動を続けた後,97年に自主的に帰国,再収監される.2003年に釈放.邦訳された主な著作として,ハートとの〈帝国〉3部作(『〈帝国〉』以文社,2003年,『マルチチュード』NHK出版,2007年,『コモンウェルス』NHK出版,2009年)のほか,『野生のアノマリー』(作品社,2008年),『構成的権力』(松籟社,1999年)がある.
著:マイケル・ハート
マイケル・ハート(Michael Hardt)
1960年生まれ.アメリカの政治哲学者,比較文学者.デューク大学文学部教授.パリ第8 大学で亡命中のネグリに師事,1991年に『野生のアノマリー』を英訳する.上記のネグリとの共同作業のほか,『ドゥルーズの哲学』(法政大学出版局,1996年,新装版2003年)が邦訳されている.
他訳:水嶋 一憲
水嶋一憲(みずしま・かずのり)
1960年生まれ.大阪産業大学経済学部教授.専攻はメディア文化研究,社会思想史.主な著書に『コミュニケーション資本主義と〈コモン〉の探求』(共著,東京大学出版会,2019年),訳書にネグリ= ハート〈帝国〉3部作がある.

ISBN:9784000615181
出版社:岩波書店
判型:A5
ページ数:492ページ
定価:4500円(本体)
発行年月日:2022年02月
発売日:2022年02月19日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JPF
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:QDTS