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〈作者〉とは何か

継承・占有・共同性

他著:ハルオ・シラネ
他著:鈴木 登美
他著:小峯 和明

紙版

内容紹介

〈作者〉とは何か、作品とは誰のものであるのか。〈作者〉をめぐる諸問題について、日本文学を中心に、東アジアやヨーロッパの事例とも比較しつつ、古代から近現代まで幅広く考察する。作者性は、どのようにして社会的あるいは文化的に構築されてきたのか、その様相を叙述することで、〈作者〉という存在を再考する。

目次

はじめに——〈作者〉を再考すること、作者性研究の可能性……………ハルオ・シラネ、鈴木登美


Ⅰ 〈作者〉の位相——創造性と共同性
 〈作者〉の複数性、複数の作者性——ジャンル・伝承・借用・参加型文化……………ハルオ・シラネ

Ⅱ 構築される〈作者〉——テクストの継承とカノン化
 〈偽書〉の位相——擬作の回路・憑依する作者……………小峯和明
 〈作者〉を創造する——『新唐書』のなかの唐代作家伝記 ……………アナ・M・シールズ
 本と〈作者〉——作品の格と内題との関係 ……………佐々木孝浩
 希求される作者性——物語という散文の成立をめぐって ……………荒木 浩
 【コラム】 『万葉集』における〈作者〉 ……………トークィル・ダシー
 【コラム】 聖徳太子碑文と〈作者〉……………李成市

Ⅲ 集団的制作における〈作者〉——創造性のありか
 和歌における〈作者〉 ……………渡部泰明
 中世西ヨーロッパにおける音楽〈作者〉の形態 ……………スーザン・ボイントン
 中世絵巻の〈作者〉とその基盤——「春日権現験記絵巻」と古代宝蔵の再生をめぐって……………髙岸 輝
 印章から読み解く〈作者〉像——集団的制作とアイデンティティの問題 ……………仲町啓子
 能の〈作者〉 ……………竹本幹夫
 演劇を作るものは誰か ……………児玉竜一
 東アジア前近代における〈作者〉の語義とその特徴——近世の戯曲、絵画を例として……………金文京

Ⅳ 作者性の転回——出版文化と独創の神話
 江戸時代の出版文化と〈作者〉 ……………鈴木俊幸
 変装する〈作者〉——上田秋成の小説を例として ……………長島弘明
 『石頭記』と〈作者〉 ……………商 偉
 近世イギリスにおけるジェンダーと作者性 ……………鈴木美穂子
 ヴィクトリア朝イギリスの検閲と作者性——風刺的批評の媒介……………フランク・パルメリ
 一八世紀ヨーロッパの学芸における作者性と創造性観の変化 ……………ドロテア・フォン・ミュッケ
 【コラム】 代作と仮託……………揖斐 高

Ⅴ 近現代メディアと〈作者〉——テクストの占有と新たな共同性のなかで
 翻訳と翻案から見る日本近代の作者性 ……………鈴木登美
 「文学の神様」の創造と忘却——マスメディアと帝国日本の文学者……………十重田裕一
 映画作家という概念への固執 ……………ジェーン・M・ゲインズ
 中国における映画監督像 ……………銭 穎
 匿名的、大規模共同作業的、超人間的(トランスヒューマン) ……………デニス・イ・テネン
 【コラム】 サークル運動と〈作者〉 ……………鳥羽耕史
 【コラム】 マンガとライトノベルの〈作者〉……………北村結花


あとがき
〈作者〉とは何か シンポジウム・ワークショップ記録
執筆者・訳者紹介

著者略歴

他著:ハルオ・シラネ
ハルオ・シラネ(Haruo Shirane)
コロンビア大学教授。日本古典文学専攻。『四季の創造――日本文化と自然観の系譜』(北村結花訳、KADOKAWA、2020)
他著:鈴木 登美
鈴木登美(すずき とみ)
コロンビア大学教授。日本近代文学専攻。『語られた自己――日本近代の私小説言説』(大内和子・雲和子訳、岩波書店、2000)
他著:小峯 和明
鈴木登美(すずき とみ)
コロンビア大学教授。日本近代文学専攻。『語られた自己――日本近代の私小説言説』(大内和子・雲和子訳、岩波書店、2000)

ISBN:9784000614597
出版社:岩波書店
判型:A5
ページ数:512ページ
定価:6700円(本体)
発行年月日:2021年03月
発売日:2021年03月25日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:DSA