都立松沢病院の挑戦
人生100年時代の精神医療
著:齋藤 正彦
紙版
内容紹介
「患者のために働き、公務員として納税者を納得させる仕事をする」が信条の医師、日本最古の精神科病院で唖然とする! 松沢病院140年の歴史と、直近9年間の奮闘—患者の行動制限最小化、身体拘束ゼロ、地域を支え地域に支えられる病院を目指す—の記録から、10年遅れの日本の精神医療の前に立ちはだかる壁を指摘、将来を展望
目次
はじめに
1 「こころに深呼吸」——緑あふれる精神科の専門病院
こころに深呼吸/小さな図書室/「おはようございます」/ホスピタリティーというもの
2 松沢病院の歴史と日本の精神医療——一四〇年のカルテから
病院の創立前後/東京府癲狂院時代、呉院長の誕生まで/呉秀三の改革/戦時下の松沢病院/終戦後の社会情勢と松沢病院/優生論と松沢病院/戦後の優生手術と松沢病院/精神外科手術と松沢病院/一四〇年の歴史を振り返って
3 松沢病院の挑戦——院長着任から九年
松沢病院長となる/患者の苦しみに対する共感性の欠如ということ/はじめの一年/松沢病院のマーケティング/外来を変える/縛らない精神医療/民間医療機関の依頼を断らない/患者に選ばれる病院をつくろう/改革にともなって起こった出来事
4 松沢病院の現在 残された課題/松沢病院職員の労働生産性/都立病院における業務改善の足かせ/松沢病院の業務改善——働きやすい職場をつくるために/地域を支え、地域に支えられる/重度慢性患者の医療
5 松沢病院とこれからの精神医療
入院医療から地域医療への構造変化は起こっているのか/精神医療は進歩しているか/松沢病院オープンホスピタル構想/一〇〇年後の松沢病院
おわりに——コロナ禍に一〇〇年後を思う
松沢病院に残したかったもの/信なくんば立たず/一〇〇年先の精神医療
謝 辞
参考文献