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フィデューシャリー・デューティーと利益相反

著:神作 裕之

紙版

内容紹介

近年、金融業界で注目を集めるフィデューシャリー・デューティー(受託者責任)。この責任を金融機関が負うのはいかなる場合か。フィデューシャリー・デューティーの観点から米国金融界の歴史を概観し、日々拡大・深化を続ける同国の法制度・判例の進展を分析。日本の利益相反管理法制と比較しながら、いかなる示唆が得られるかを探る。

目次

はしがき


Ⅰ 総論

第1章 フィデューシャリー・デューティーから見る米国金融機関の歴史 ……………友松義信
 1 緒論
 2 信託兼営銀行の歴史
 3 証券会社の歴史
 4 投資会社・投資顧問会社の歴史

第2章 フィデューシャリー・デューティー,利益相反に係る米国金融機関を取り巻く環境 ……………佐藤令康
 はじめに
 1 私法・司法
 2 行政
 3 「市場」について
 おわりに


Ⅱ 各論

第3章 米国金融機関に対する司法判断の状況 ……………溜箭将之
 1 フィデューシャリー・デューティーの認定
 2 フィデューシャリー・デューティー違反認定の効果
 3 フィデューシャリー・デューティー違反を争う意味
 4 日本法との比較

第4章 信託兼営銀行の利益相反管理の考え方 ……………松尾直彦
 はじめに
 1 信託銀行制度の沿革と考え方
 2 銀行の信託業務にかかる利益相反管理のあり方
 3 米国における銀行の信託業務にかかる利益相反管理
 おわりに

第5章 法人における事実認識の有無に関する法的判断の構造 ……………加毛 明
 はじめに――検討の対象と理由
 1 事例を通じた課題の設定
 2 ドイツ法研究を手掛かりとした我が国における学説の展開
 3 第3次リステイトメントにおける認識帰属の法理
 4 課題の検討
 おわりに――残された課題

第6章 米国における投資商品の販売とフィデューシャリー・デューティー ……………小出 篤
 はじめに――わが国の「顧客本位の業務運営に関する原則」と「フィデューシャリー・デューティー」
 1 米国における投資信託(ミューチュアル・ファンド)販売チャネル
 2 投資信託の販売に対する証券規制
 3 ブローカー・ディーラーの手数料
 4 ドッド・フランク法913 条とその後の展開
 5 銀行によるミューチュアル・ファンドの販売について(補論)
 まとめに代えて

第7章 資産運用業者のフィデューシャリー・デューティーとスチュワードシップ責任 ……………神作裕之
 はじめに
 Ⅰ スチュワードシップ活動への期待の背景と問題の所在
 Ⅱ 米国における資産運用業者のスチュワードシップ責任
  1 民事法上の規律――思慮ある投資家の準則とスチュワードシップ活動
  2 監督法上のスチュワードシップ責任
 Ⅲ 米国の最近の動向――実務と理論
  1 米国におけるスチュワードシップ・コードの策定と動向
  2 分析
  3 スチュワードシップ活動に影響を与える法制度
 おわりに


Appendix 米国判例の調査結果

索 引

著者略歴

著:神作 裕之
神作裕之(かんさく ひろゆき)
1962年生.東京大学大学院法学政治学研究科教授(商法).

ISBN:9784000613507
出版社:岩波書店
判型:A5
ページ数:322ページ
定価:3600円(本体)
発行年月日:2019年07月
発売日:2019年07月25日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KFF