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最高裁に告ぐ

著:岡口 基一

紙版

内容紹介

ツイッターをやめるか、裁判官を辞めるか。自らの関与しない訴訟記事を紹介したツイートが原因で、現職の判事が「分限裁判」(裁判官の懲戒などに関する裁判)にかけられ、最高裁判事と対峙することに――。前代未聞の事態の当事者となって体験したこと、そこから見つめ直した司法、そして社会の現実を、平易な筆致で綴る。
なぜSNSを続けるのか。どうして「白ブリーフ判事」と呼ばれるようになったのか。最高裁、そして裁判所の変質の背景には何があるのか。この時代に、裁判官に本当に期待されることとは何なのか……。司法の未来を考えるために必読の書。

目次

プロローグ

第Ⅰ部 前史――私はいかにしてSNSを始めたのか
 1 法律情報ポータルサイトを立ち上げる
 2 SNS雑感――自分を「落とす」仕掛け
 3 白ブリーフ判事と呼ばれるまで
 4 二度目の厳重注意処分
 5 ツイッターをやめるか,それとも,裁判官を辞めるか
 6 ひとつの背景――裁判官訴追委員会の動き

第Ⅱ部 「分限裁判」とは何だったのか
 1 そして,裁判が始まった
 2 当事者となって知った手続保障の現実
  一 漠然とした申立て
  二 役割を放棄した最高裁
 3 弁護団とともに審問期日へ
 4 記者会見に臨む――「不意打ち」のあとで
 5 全員一致の決定
 6 分限決定を見る
  一 不可思議な事実認定
  二 ツイッターの特性に対する無理解
  三 スルーされた「表現の自由」と「裁判官の独立」
  四 「ちゃぶ台返し」の補足意見
 7 非公開で行われた裁判

第Ⅲ部 変貌する最高裁,揺らぐ裁判所
 1 続出していた不可思議な判決
 2 静かに進行する最高裁判事の「王様」化
 3 「王様」化をもたらす内部的要因
  一 最高裁における憲法判断の手法
  二 多忙ゆえの省略?
 4 最高裁判事はどのように選ばれているか
 5 「裁判官ピラミッド」で起きていること
 6 監視・批判勢力はいま

第Ⅳ部 「司法の民主的コントロール」は可能か?
 1 裁判所の組織防衛術
 2 裁判官の「真の信頼」のために

エピローグ

巻末資料 最高裁「岡口分限決定」全文(二〇一八(平成三〇)年一〇月一七日大法廷決定)

著者略歴

著:岡口 基一
岡口基一(おかぐち きいち)
1966年大分県生まれ.1990年東京大学法学部卒業.東京地方裁判所知的財産権部特例判事補,福岡地方裁判所行橋支部判事を経て,現在,東京高等裁判所判事.
著書に,『民事訴訟マニュアル――書式のポイントと実務第2版』(上下巻,ぎょうせい,2015年),『要件事実問題集 第4版』(商事法務,2016年),『要件事実マニュアル 第5版』(全5巻,ぎょうせい,2016‒2017年),『裁判官! 当職そこが知りたかったのです。――民事訴訟がはかどる本』(中村真氏との共著,学陽書房,2017年),『要件事実入門 初級者編 第2版』(創耕舎,2018年),『裁判官は劣化しているのか』(羽鳥書店,2019年).

ISBN:9784000613316
出版社:岩波書店
判型:4-6
ページ数:216ページ
定価:1700円(本体)
発行年月日:2019年03月
発売日:2019年03月27日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:LNAA