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岩波科学ライブラリー 318

脳がゾクゾクする不思議

ASMRを科学する

著:仲谷 正史
著:山田 真司
著:近藤 洋史

紙版

内容紹介

耳元である音がするとゾクゾク、ゾワゾワ、ウズウズしてしまう……。ASMRとよばれるこの感覚・反応は、ハマる人が続出して人気を博す一方、そのメカニズムや効果は科学的に不明で、実在を疑う声すらある。そんなASMRを真面目に科学しようと、3人の研究者がそれぞれの専門領域からこの不可思議な生理現象を掘り下げる。

目次

 はじめに

第1章 ASMRの歴史
 ASMRとは何か
 名のなき奇妙な感覚
 最初のユーチューブチャンネル
 ASMRの誕生
 加速する広がり
 日本におけるASMR
 コラム◎ASMRのゴッドファーザー

第2章 ASMRを科学する
 最初の学術論文
 ASMRとビッグ・ファイヴ
 コラム◎気分状態と感情特性
 音嫌悪症、聴覚過敏、そして共感覚
 近づいてくる、暗い音色
 耳元で生じるゾクゾク感
 それぞれの専門からASMRに挑む

第3章 ASMRと感情
 ASMR流行の社会的背景
 感情のモデル
 聴覚情報と感情
 強い感情と記憶
 聴覚と触覚
 コラム◎ASMRとプルースト効果

第4章 ASMRの神経機構
 吾唯知足――ウェルビーイング
 自律神経系のシーソー
 コラム◎ 恒常性
 意識と無意識のあいだ
 3つの脳内ネットワーク
 精神集中あるいは標準状態
 共感覚と似ているようで違う?
 音嫌悪症、ふたたび
 コラム◎ 共感の起源
 聴覚と情動の共活性
 呼び覚まされる喜び
 認知神経科学とASMR

第5章 ASMRと触覚科学
 触覚研究者がASMRを研究する?
 聴覚と触覚の関係
 コラム◎ メルケル細胞がないとどうなる?
 空間知覚研究で聴覚科学と触覚科学が出会う
 ASMRコンテンツと視覚刺激
 ささやき声が想起させる身体感覚から得られるヒント
 触感科学によるASMRの解釈
 質感科学から深奥質感科学へ
 深奥質感としてのASMR
 コラム◎ 歌唱とASMR

第6章 ASMR研究の未来
 ASMRとは何か――再考
 ASMRの光と影
 一般社会から見たASMR
 音楽の感動体験とASMR体験との関係
 ASMRNet――ASMR研究の未来予想図

付 録 ASMRコンテンツを制作する
 ASMRコンテンツ録音用のマイクロフォン
 ASMRコンテンツ再生用のヘッドフォン
 筆者らの録音方法

 あとがき
 参考文献

著者略歴

著:仲谷 正史
仲谷正史(なかたに・まさし)
慶應義塾大学環境情報学部准教授.2008年,東京大学大学院情報理工学系研究科博士課程修了.博士(情報理工学).
著:山田 真司
山田真司(やまだ・まさし)
金沢工業大学情報フロンティア学部教授.1998年,九州芸術工科大学大学院芸術工学研究科博士後期課程修了.博士(芸術工学).
著:近藤 洋史
近藤洋史(こんどう・ひろひと)
中京大学心理学部長・教授.2002年,京都大学大学院文学研究科博士後期課程学修退学.博士(文学).
https://hk-lab.github.io/

ISBN:9784000297189
出版社:岩波書店
判型:B6
ページ数:124ページ
定価:1400円(本体)
発行年月日:2023年05月
発売日:2023年05月23日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:VSP