岩波科学ライブラリー 312
ことばと算数 その間違いにはワケがある
著:広瀬 友紀
内容紹介
「かける数とかけられる数、どっちがどっち?」「マイナスのマイナスは…とってもマイナス?」──混乱するのは子どもだけとは限らない。ことばのしくみに原因があることも。『ちいさい言語学者の冒険』で子どもの言語習得の旅を案内した言語学者が、小学生の宿題やテストの間違いを通して、意外に深いことばと算数の関係にせまる。
目次
まえがき
第1章 カッコつけるのやめたら
カッコつけてくれ
迷子になったサッカー選手?
迷子はどっちか、私たちはどうやって決めているのか
数式と言語の似ているところ
数式と言語の階層構造は頭のなかで共通している?
かけ算より引き算を先にやる人たち?
計算順序は絶対か
分配法則と、嵐・結婚
言葉と算数の微妙な関係
第2章 どっちから見る?
そのくまどのくま?
記号としてのくま、実体としてのくま
正しい答えで悪いか
はくちょうは、とんで行くのか来るのか
「正しい答え」のダイクシス
で、くまはどのくま?
第3章 正三角形は二等辺三角形に
入るんですか問題正三角形は二等辺三角形にあらず
聞いたこともないのに共有しているルール
someと言ったらallではない
推論する子供たち
正三角形も二等辺三角形だってどうして最初から教えないの?
ニャンコだったらワンワンじゃないの
第4章 1+1 って言ってみて!
声に出して読む数式──かけるぞ! 4と2
カッコつけなくていいんだよ
日本語で読める数式
2つの目的語に交換法則は成り立つか
カッコ不要の代償
始まりがわからないのか終わりがわからないのか
分数の読み方
第5章 かける数とかけられる数は同じだった?
算数でもなく、日本語理解力でもなく、日本語自体の問題
かけ算の順序問題はおいといて
かける数であり、かけられる数でもある……そんなのアリ?
片方を尋ねる疑問文を作ってみるとあら大変
かけるシロップ、かけられるシロップ
略しても、好きな人
回避する工夫?
むしろ言葉に鋭い子ほどドツボにはまる?
第6章 マイナスを引くと……とってもマイナス?
マイナスの数を引いたら足し算になるっておかしいじゃん!
二重否定──肯定を強調? 否定を強調?
マイナスのマイナスはもっとマイナス、が自然だった?
再帰性──反対の反対なのだ
人間の証明としての再帰性と、その獲得
第7章 ジブンデ。ミツケル。
その間違いに理由はあるのか
少ない例からいかに学ぶか
過剰に一般化──ネコも車もワンワンみたいな
過剰に特殊化──ワンワンは隣のポチ限定
そして旅はつづく
あとがき
子供の算数間違いについてもっと知りたい方へ
参考文献