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岩波科学ライブラリー 309

僕とアリスの夏物語 人工知能の、その先へ

著:谷口 忠大

紙版

内容紹介

小学生の悠翔のもとに突然やってきた謎の少女、アリス。まるで赤ちゃんのように何も知らなかったが、悠翔たちから多くを学んでいく。しかしそこに、怪しい影が忍び寄り……!? AIと共存する未来とはどういうものか。「発達する知能」は、いかに実現されるのか。小説と解説の合わせ技で、いざ、めくるめく知の融合体験へ!

目次

第1話 訪れる者
 第1話解説 人工知能の時代
  「知能」って何だろう
  人工知能技術は人間に近づいているのか?
  「関数」としての人工知能
  発達する心をつくる

第2話 物を調べる者
 第2話解説 探索と物体概念の獲得
  物体の概念とは何か?
  「見て、触って、聞いて」知るロボット
  「物体概念」の数理モデル
  探索する幼児 vs 待っている人工知能
  ロボットに好奇心をもたせる
  「時々、ダメそうなことをやってみる」知的さ

第3話 言葉を覚える者
 第3話解説 音素と語彙の獲得
  言葉を聞きとるための知識
  幼児は音素と単語を発見する
  音列の統計情報をつかう
  ロボットは単語を「発見」できるか?
  幼児の音声認識にテキストはいらない
  それは「クーラー」か、「スズシイ」か?

第4話 徘徊する者
 第4話解説 移動と場所の学習
  幼児はやがて歩き始める
  身体そのものが「知的」である
  柔らかいことの大切さ
  「場所」の概念を理解する
  本物の言語使用に向き合う

第5話 街に出る者
 第5話解説 社会の中での言語獲得と理解
  「はじめてのおつかい」からサービスロボットを考える
  「統語的」関係から意味を定義する
  分布意味仮説――単語の並びに潜む意味
  データベース的な知識を使うロボット

第6話 苦悩する者
 第6話解説 人工知能と社会構造の変容
  人工知能に仕事を奪われる?
  技術が発展すると「仕事」は変わる?
  インターネットと人工知能の同盟関係

第7話 衝突する者
 第7話解説 人工知能との関係性と倫理
  人間のふりをするロボット
  会話の文脈理解は難しい
  関係性を育む
  「ロボット工学三原則」って言われても
  人工知能は規範をどう学ぶか?
  ロボットと生きるための倫理

第8話 未来に向かう者
 第8話解説 発達する自律的な人工知能の創成
  自律的なロボットを創る
  人工知能の感情と意識
  アリスが「人間」になった理由
  プロジェクト・アリス

 引用文献

著者略歴

著:谷口 忠大
谷口忠大(たにぐち ただひろ)
1978年京都府生まれ。2006年京都大学大学院工学研究科精密工学専攻博士課程修了。「自分自身という存在は何なのだろうか?」「相手の頭の中を覗けないのに、どうして僕らは言葉の意味がわかるようになるのだろうか?」などの問いから、記号創発システムという概念を提案。また記号創発ロボティクスという研究分野を創出し、広範な研究活動を展開している。立命館大学情報理工学部教授。博士(工学、京都大学)。パナソニック客員総括主幹技師。書評ゲーム「ビブリオバトル」の発案者としても知られる。おもな著作に『記号創発ロボティクス』、『イラストで学ぶ人工知能概論』(ともに講談社)、『賀茂川コミュニケーション塾』(世界思想社)、『心を知るための人工知能』(共立出版)。

ISBN:9784000297097
出版社:岩波書店
判型:B6
ページ数:206ページ
定価:1600円(本体)
発行年月日:2022年01月
発売日:2022年01月15日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:UD