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岩波科学ライブラリー

〈生きもの〉

カイメン すてきなスカスカ

著:椿 玲未

紙版

内容紹介

脳も心臓も胃腸もない。どこを切ってもスッカスカ。動物?植物?そもそも生物? 海に行けば普通にいるが、印象が薄い。そんな存在感のないカイメンが、じつは生態系を牛耳る黒幕だった?! サンゴ礁の海も世界一透明な湖も、彼らなしには成り立たない。人間も紀元前から利用してきた。ジミにすごい正体にせまる。【カラー頁多数】

目次

はじめに

カイメンギャラリー/カイメンの世界/暮らしのなかのカイメン/カイメンの生活環

第1章 ヒトとカイメン
歴史の影にカイメンあり/カイメン漁師の栄枯盛衰/甘くはない養殖への道のり/カイメンから薬をつくる/カイロウドウケツの契り/美しいだけではない、形に隠された意味
 COFFEE BREAK 那覇の繁華街でカイロウドウケツに出会う

第2章 生き物としてのカイメン
スカスカの体は何のため?/カイメンは動物/最古の動物はカイメン? クシクラゲ??/現生カイメンの系統関係/スカスカと巨大化の深い関係/すりつぶしても死なない/体を支える骨格/カイメンのふえ方/海を漂う幼生
 COFFEE BREAK 分類の混乱をどう収めるか?
 COFFEE BREAK 1万年生きたカイメン

第3章 カイメン行動学ことはじめ
 水路をキレイに保つ秘密/カイメンの「くしゃみ」/リモデリングで前に進め/かいめんころころ
 COFFEE BREAK 付着動物の移動方法

第4章 カイメンをとりまく生き物たち
 カイメンを食べる生き物/付着する生き物との攻防/「生きているホテル」/女王エビが住まう迷宮/ポンプ代わりの貝/カイメンを背負って歩くカニ/カイメンをくわえたイルカたち/微生物でぎっしりか、もしくはスカスカか/骨片は「光ファイバー」
 COFFEE BREAK 昨日の敵は今日の友? フジツボとサンゴの持ちつ持たれつな関係

第5章 生態系のなかのカイメン
 「謎の生態系」微生物ループの発見/ダーウィンも悩んだ謎、その黒幕の正体/何をどう出すか/生きた化石「カイメン礁」の発見/カイメン、石を穿つ/肉食のカイメン
 COFFEE BREAK 近くて遠いフロンティア、深海

おわりに
付録 カイメンを観察しよう/骨片の観察

著者略歴

著:椿 玲未
椿 玲未(つばき れみ)
1985年生まれ。小学生のとき家族で訪れた海で魚に魅せられ海洋生物学者を志すも、中高時代は読書にふけり、京都大学文学部に進学。生態学の授業で生き物への情熱がよみがえり、生物の研究ができる総合人間学部に転学部、卒論では沖縄・八重山列島の海で砂に潜るハゼ(スナハゼ)を研究。その後、研究テーマを二枚貝とカイメンの共生関係に移し、2013年、京都大学大学院人間・環境学研究科で博士(人間・環境学)を取得。学位取得後は森林総合研究所でカミキリムシを研究しながらもカイメンのシンプルながら奥深い生態に魅せられ、海洋研究開発機構に移りカイメン漬け生活がスタート。現在はサイエンスライターとして活動しながら、東京大学総合研究博物館、海洋研究開発機構でカイメンの研究も進めている。分担執筆に『貝のストーリー──「貝的生活」をめぐる7つの謎解き』(中嶋康裕編著、東海大学出版部、2016年)、単著は本書が初。

ISBN:9784000297066
出版社:岩波書店
判型:B6
ページ数:142ページ
定価:1600円(本体)
発行年月日:2021年08月
発売日:2021年08月10日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PDZ
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:PSVA