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岩波科学ライブラリー

岩波科学ライブラリー

追いつめられる海

著:井田 徹治

紙版

内容紹介

表面の3分の2を覆う海の存在ゆえに、地球は青く、美しい。その海が今、危機的な状況に直面している。海水温の上昇、海洋酸性化、プラスチックごみ、酸素の足りないデッドゾーンの広がり、漁業資源の減少がこのまま進むとどうなるか。環境問題の取材にライフワークとして取り組んできた著者が、最新の研究報告やルポを交えて伝える。

目次

はじめに

序章  海を追いつめる人間活動
離島に迫る温暖化の危機・ガラパゴス(エクアドル)/積み重なる危機

1 海の熱波の恐怖 ——高くなる海水温  水没におびえる住民・モルディブ/異常な高温海域/不可逆の影響も/熱波多発の予測/たまる大量の熱/高くなる海面/増える災害/被害は甚大
 【コラム】 パリ協定と気温上昇

2 酸性化する海 ——生態系破壊の懸念
海の変化を実験で再現・沖縄/殻が溶けちゃう/もう一つの二酸化炭素問題/深刻な未来予測/日本の沿岸でも/影響は既に/ニモもピンチ?/経済にも悪影響/挟み撃ち
 【コラム】 白砂もなくなる?

3 海を埋め尽くすプラスチックごみ ——有害物質の運び屋にも
汚染は地球規模で・ギニアとモルディブ/ごみの量が急増/脅かされる海の野生/粒子を求めてネットを引く・東京湾/マイクロプラスチック汚染/生物体内に/汚染の運び屋/世界に先駆けレジ袋禁止・ルワンダ/使い捨て文化の象徴/大きい日本の責任
 【コラム】 七割は燃やしている

4 広がるデッドゾーン ——減り続ける海の酸素
生き物のすめない海・パラワン島(フィリピン)/死の海域/深い海でも/温度差が拡大/温暖化の悪循環/対策の時/すべての人が行動を・COP25(マドリード)
 【コラム】 窒素利用、見直し急務

5 細りゆく海の恵み ——漁業資源の減少深刻
不安な漁民の未来・マダガスカル/進む乱獲/日本の沿岸は壊滅的/公海でも深刻/海賊漁業/終わらぬクジラの危機・夏のダボス会議(中国)/生態系の危機/温暖化が追い打ち/海の砂漠に/変わる魚の分布/漁獲量減少の予測/続くサンゴの減少・バリ島(インドネシア)/サンゴのいない海/減り続ける沿岸の林/海鳥の危機
 【コラム】 海の国勢調査

6 終章  海の価値を見直す
海と人間の将来を左右するもの・COP25(マドリード)/多くの可能性も/それでも人は木を植える・モルディブ/青い海と二酸化炭素/自然の価値を見直す/大転換へ

あとがき
参考文献

著者略歴

著:井田 徹治
井田徹治(いだ てつじ)
1959年12月、東京生まれ。1983年、東京大学文学部卒業、共同通信社に入社。本社科学部記者、ワシントン支局特派員(科学担当)を経て、現在は編集委員。環境と開発の問題がライフワークで、多くの国際会議を取材。
著書に『ウナギ 地球環境を語る魚』、『生物多様性とは何か』、『グリーン経済最前線』(共著)、『霊長類 消えゆく森の番人』(以上、岩波新書)、『鳥学の100年』(平凡社)など。

ISBN:9784000296946
出版社:岩波書店
判型:B6
ページ数:166ページ
定価:1500円(本体)
発行年月日:2020年04月
発売日:2020年04月11日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:TQ