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近代日本の音楽百年 黒船から終戦まで 第二巻

デモクラシイの音色

黒船から終戦まで

著:細川 周平

紙版

内容紹介

日露戦争後から関東大震災までのおよそ二〇年間、広く人びとの生活に洋楽文化の諸要素が進出していく様相を叙述する。流行歌の曲調が欧化し、西洋の音楽家たちも数多く来日して、若者たちが洋楽器を手にしつつ、芸術音楽を語る時代であった。併せて、童謡運動の勃興、家庭音楽の提唱、浅草オペラの誕生などが描かれる。

目次

 凡 例

 序 章 デモクラシイの音色

第一部 歌の革新
 第一章 「カチューシャの唄」
  はじめに
  第一節 歌う女優の誕生
  第二節 唱歌調からの小さな一歩
  第三節 新しいメディア
  おわりに──「故」のついた録音盤
 第二章 童 謡
  はじめに
  第一節 『赤い鳥』の巣箱
  第二節 少女の舞台
  第三節 童謡の媒体
  第四節 レコード童謡
  おわりに

第二部 大人のオペラ、子どもの歌劇
 第一章 お伽歌劇
  はじめに
  第一節 日露戦争後の勃興
  第二節 お伽歌劇の波紋
  第三節 レコード歌劇
  第四節 茶目子登場
  おわりに
 第二章 浅草オペラ
  はじめに
  序幕 オペラをめぐる三点測量──浅草・日比谷・上野
  第一幕 浅草仕立てのヴァラエティ
  第二幕 日本語で歌う
  第三幕 見世物小屋にて
  第四幕 少女歌劇との隣接
  第五幕 アメリカニズム──レビューへの序幕
  おわりに

第三部 女子のいる場所
 第一章 家庭音楽
  はじめに
  第一節 議論される家庭と音楽
  第二節 家庭演奏の実際
  第三節 伝統の洗練
  第四節 商品化──戦前昭和
  おわりに──「うち」の家庭音楽
 第二章 工場音楽
  はじめに
  第一節 「通俗音楽」
  第二節 歌う/歌わされる女工
  第三節 小林愛雄と弘田龍太郎
  おわりに

第四部 始まりとしての関東大震災
 第一章 関東大震災
  はじめに
  第一節 揺れる大地
  第二節 復興期の歌謡
  第三節 この世の定め
  第四節 復興と復古
  おわりに
 第二章 「船頭小唄」
  はじめに──震災の予兆
  第一節 卑弱哀傷の発明
  第二節 野口雨情の詩学
  おわりに──佐藤千夜子の不幸
 第三章 鳥取春陽
  はじめに──過渡期を吞み込む音楽家
  第一節 「籠の鳥」の卵から繁殖まで
  第二節 ストリートからスタジオへ
  第三節 ジャズ歌謡の発端
  おわりに

 注
 第二巻 参考文献
 第二巻 図・表一覧
 索 引

著者略歴

著:細川 周平
細川周平(ほそかわ しゅうへい)
1955年生まれ。東京芸術大学大学院音楽研究科博士課程修了。現在、国際日本文化研究センター名誉教授。専門分野は近代日本音楽史、日系ブラジル文化史。
著書に、『音楽の記号論』(朝日出版社、1981年)『レコードの美学』(勁草書房、1990年)『サンバの国に演歌は流れる──音楽にみる日系ブラジル移民史』(中公新書、1995年)『シネマ屋、ブラジルを行く──日系移民の郷愁とアイデンティティ』(新潮社、1999年)『遠きにありてつくるもの──日系ブラジル人の思い・ことば・芸能』(みすず書房、2008年、読売文学賞受賞)『日系ブラジル移民文学Ⅰ・Ⅱ──日本語の長い旅』(みすず書房、2012・2013年)ほか訳書に、ブルーノ・ネトル『世界音楽の時代』(勁草書房、1989年)ほか

ISBN:9784000272278
出版社:岩波書店
判型:A5
ページ数:314ページ
定価:13000円(本体)
発行年月日:2020年10月
発売日:2020年10月26日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:AVM