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歪められたデモクラシー

意見,真実,そして人民

著:ナディア・ウルビナティ
訳:鵜飼 健史

紙版

内容紹介

代表制デモクラシーの本質は「意志」(制度)と「意見」(制度外の思考や議論)が相互補完する二頭政にある。専門家による政治の手続き化、ポピュリズム、マスメディアの発達によるプレビシット(人気集め)という三類型から、二頭政の危機を解析。豊かな学識と鋭敏な現状分析を駆使する俊英が、現代政治理論の刷新を図る。

目次

 謝 辞
 凡 例

序 論

第一章 デモクラシーの二頭政
 民主的な手続きの価値と維持
 民主的な二頭政とは何か?
 代表制デモクラシー
 ドクサ、政治、そして自由
 統合とコンセンサス
 意見の知覚的な役割
 政治的な分裂と党派的な意見
 意見にもとづく政府
 ある政治的な市民権
 障壁、機会、そして退出
 声の不均衡な権力
 コミュニケーション的権力
 間接性の連鎖
 自由のふたつの概念
 新たな課題
 分散対集中
 ふたつの見地
 民主的な手続きへの回帰
 結 論

第二章 非政治的なデモクラシー
 非政治的なものの神話
 内側からの批判
 真理に道具的な
 判断の消極的な権力
 理性の共和政
 司法的判断と政治的判断
 結 論

第三章 ポピュリズム的な権力
 社会運動とポピュリズム
 ポピュリズムを紹介する
 人民の代表を争う
 デマゴギー、社会対立、そしてより極端な多数派
 複雑な現象
 デモクラシーの一元支配的な修正
 分極化、単純化、喝采
 人 民
 ポピュラスと平民
 結 論

第四章 観衆のプレビシットと受動性の政治
 人民へのアピール
 プレビシットとは何か?
 投票対プレビシット
 形式と事象
 秘密投票に対抗する目に見える公衆
 信仰問題
 議会制デモクラシーの危機
 プレビシット主義的なデモクラシーのアメリカでの再生
 公開性のコスト
 観ることのポイントは何か?
 観衆デモクラシー
 ローマ的モデル
 フォーラムでの言論
 結 論

結 論
訳者あとがき

 注
 索 引

著者略歴

著:ナディア・ウルビナティ
ナディア・ウルビナティ(Nadia Urbinati)
コロンビア大学教授。専攻は近現代政治思想。著書に Me The People: How Populism Transforms Democracy(Harvard University Press, 2019), The Tyranny of the Moderns(Yale University Press, 2015), Representative Democracy : Principles and Genealogy(University of Chicago Press, 2006)がある。本書(Democracy Disfigured: Opinion, Truth, and the People(Harvard University Press,2014))が初の邦訳書となる。
訳:鵜飼 健史
鵜飼健史(うかい たけふみ)
西南学院大学法学部教授。専攻は政治理論。著書に『人民主権について』(法政大学出版局、2013年)。論文に「時間の中の民主主義」(『思想』第1150号)、「生きている主権論──台湾政治学と主権の現実性」(『年報政治学』70巻第1号)他。

ISBN:9784000254304
出版社:岩波書店
判型:A5
ページ数:374ページ
定価:5700円(本体)
発行年月日:2021年12月
発売日:2021年12月25日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JPF
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:QDTS