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百の太陽/百の鏡

写真と記憶の汀

著:新井 卓

紙版

内容紹介

最古の実用写真術、銀板写真とともに旅に出る。福島の渚へ、遠野の田園へ、核実験場の砂漠へ、あるいは己の過去、夢と現の境へ――。詩人になりたかった美術家は、絶望と混迷の時代にあってもまた昇る陽を待ちながら、ひとり言葉とイメージを探す。世界と自身を見つめ、未来の先触れに手を伸ばす、文+写真エッセイ。

目次

Ⅰ 鏡ごしに出会うこと
 在りし日の写真について
 銀板写真/モノと記憶/極小の記念物
 二百年の孤独 銀板写真にうつす十七歳の肖像
 イマーゴー

Ⅱ 陽の光あるうちに
 冬 眠
 路上で
 ロプロプまたは夢の慈悲心鳥
 いつか、家へ、砂漠へ
 ショーント・ビゲイのアトリエ
 ミセス・レイコ・ブラウン
 維管束
 新しい地図
 O 駅
 根付の国の身体へ
 草陰の小径で
 Yongsan・1999
 渚にて
 鳥たち
 コロニアル/ほとりにて
 わたしたちは歩くことに決めた
 遠野へ
 遠野の馬と人、写真家・浦田穂一の「滲み」

Ⅲ 百の太陽に灼かれて
 トリニティ・サイトへ
 東松照明への旅――だれのものでもない〈写真〉への断章
 カボチャの名前――〈カボチャ爆弾〉と映画『49 パンプキンズ』
 長崎、十一時二分の時計
 千の祈り/千の鏡

Ⅳ ままならぬ身体の方へ、目覚める
 アジール
 悪魔の舌
 猫たち
 冬の客
 彼岸の太陽
 密林の黒い水
 一斗缶幻想、沖縄にて
 Inframince/失われたモノたちの領域で
 だれでもない夜、ひとりで
 菌糸世界/mycelia
 水際にて

あとがきにかえて

本文出典一覧
写真作品一覧

著者略歴

著:新井 卓
新井 卓(アライ タカシ)
1978年,神奈川県生まれ.アーティスト.最初期の写真術ダゲレオタイプ(銀板写真)を独自に習得.対象に出会ったときの感覚を時間と空間を超えて伝える〈極小のモニュメント〉として自身のメディアとし,核の歴史を主題に世界各地で制作,発表を行う.近年は映画制作,共同研究ほか学際的活動を展開.2016年に第41回木村伊兵衛写真賞を,2018年に映像詩『オシラ鏡』で第72回サレルノ国際映画祭短編映画部門最高賞を受賞.スミソニアン博物館,ボストン美術館,サンフランシスコ近代美術館,ギメ美術館,東京国立近代美術館ほか内外の展覧会に参加,各美術館に作品が収蔵されている.著書に『MONUMENTS』(PGI),『ドイツ 丘の上の小さなハカセ クラース』(偕成社),『フィールド科学の入口 災害とアートを探る』(共著,玉川大学出版部)など.

ISBN:9784000245517
出版社:岩波書店
判型:4-6
ページ数:214ページ
定価:2700円(本体)
発行年月日:2023年07月
発売日:2023年07月11日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:WFA
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:AJ