徂徠学講義
『弁名』を読む
著:子安 宣邦
内容紹介
近代日本国家形成理念の深層にあるもの
目次
凡 例
序 徂徠学のために
1 荻生徂徠とは誰か
2 戦後における徂徠
3 徂徠学とは何か
制作の学としての徂徠学
徂徠学の形成
徂徠学の構成1――命名と制作
徂徠学の構成2――古代と古言
徂徠学の構成3――先王と礼楽と六経
徂徠学の射程
『弁名』について
註
■第一講「緒言」
命名と制作――『弁名』の方法論的序章
「弁名」という作業
聖人による命名
「正名」ということ
物と名の食い違い
世と言説の変化
名も物も失えり
■第二講「道」
道とは統名である
道は統名である
道とは何か
先王の道と儒者の道
道の原初性と歴史性
道の規範性
孔子は先王の道を学ぶ
性に率うの道
「中庸」と性説
道は言うべからず
民はこれ由らしむべし
天下安民の道
■第三講「徳」
人間社会の構成論
徳は人ごとに殊なる
人材形成論
礼楽と徳
徳は得なり
心身二元論と身体論
仁斎徳論の批判
仁斎の「性」論批判と「道徳」概念
◆補論――和辻倫理学と「徳の諸相」
◆補論――礼と徳・習俗論の視点
■第四講「仁」
天下安民の大徳
天下安民の徳・仁
政治的思惟の体系的展開
君なるものは群なり
君主と人間の集団性
先王の道と仁
仁と安民の理念に貫かれる道
後世的仁説の批判
「仁とは愛の理」という言語
仁斎の拡充説批判
仁斎の道徳拡充説と徂徠
■第五講「智」
聖人の叡智と人の知
制作者聖人の叡智
「命を知る」とは
「人を知る」こと
格物窮理と世俗の知
聖人の叡智・君子の知・人の分別知
■第六講「聖」
聖人とは制作者である
聖人とは製作者
孔子は何ゆえ聖人か
孔子ははたして聖人か
湯武もまた聖人である
祭・政・教一致論
祖宗と天とは一なり
内を主となすの非
◆補論――礼楽論と宣長
■第七講「礼」
礼=物による教化の道
礼は道の概念
身体的教化の道
化すること
言葉による教えの害
礼とは物なり
礼と義
■第八講「孝悌・忠信」
徂徠の政治的思惟と孝悌忠信
孝悌をいかに意義づけるか
忠とは政事の科目
民信無くんば立たず
■第九講「天」
超越的神格「天」の成立
天を敬うことは聖門の第一義
天は有心
天は測るべからず
天に合して祀り帝という
■第十講「鬼神」
徂徠鬼神論と鬼神祭祀論
鬼神とは何か
天(神)――聖人の信をいう言説
徂徠は仁斎をこう批判する
■第十一講「性」
性は生の質なり
性は生の質なり
性はよく移る
あとがき