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聖母のルネサンス

マリアはどう描かれたか

著:石井 美樹子

紙版

内容紹介

「書物を手にする聖母」に導かれた女性たち

目次

■第一章 受胎告知――神の母から人の母へ
 1 「受肉の神学」と新しい聖母子像
  人間感情の目覚め
  肉体美の発見
  裸体のイエス
  幼な子の性器を触るおばあちゃん
  母のあごを触る幼な子
 2 救済への入り口「受胎告知」
  お言葉どおりこの身に成りますように
  マリアの抗議
  信仰への入り口
  受胎告知の祝日
  3月25日は神と人間の和解の日
  神の母から人の母へ
 3 「受胎告知」のさまざまな表象
  耳から神なるロゴスを受胎したマリア
  花は花から花の季節に生まれる
  十字架を担ぐ裸体の幼な子
  どこで告知がなされたか
  糸つむぎをするマリアから書を持つマリアへ
 4 鑑賞 さまざまな「受胎告知」
  フラ・アンジェリコの「受胎告知」
  ボッティチェリの「受胎告知」
  聖堂を舞台にした「受胎告知」
  草花がちりばめられた「受胎告知」
  民家の室内を舞台にした「受胎告知」
  ブルジョアの民家を舞台にした「受胎告知」
  ゲントの祭壇画
  ウェイデンの赤いベッド
  廃れゆく「受胎告知」

■第二章 ミルクスープの聖母――ミルクとスプーンのフォークロア
 1 シンボル解読の旅へ
  スプーンを持つ幼児
  羊飼いの贈り物
  ミルクスープの聖母
  イエスが手にするモノの意味
  ダヴィットの聖母子
  シモン・ベニングの聖母子
 2 「授乳の聖母」と養い親ヨセフ
  授乳の聖母
  マリアの乳の聖遺物
  マリアの乳に癒された聖ベルナルドゥス
  授乳の聖母を描くルカ
  ヨース・ヴァン・クレーヴの「聖ヨセフのいる聖家族」
  イエスの養い親ヨセフの地位
  消えゆく授乳の聖母
 3 スプーンのシンボリズム
  スプーンとフラスコのセット
  スプーンが添えられた聖画
  聖アウグスティヌスとスプーンを持つ幼児
  王者のしるし
  愛と豊穣のシンボル

 付録1 羊飼いの贈り物
 付録2 聖母マリアのシンボル

■第三章 書を持つ聖母――「神の器」から言葉の主体へ
 1 象徴としての書物
  女性に読み書きを教えるのは危険
  母は子の最高の教育者
  男性の最高権威の象徴としての書物
 2 読み書きを教える聖母
  マリア崇拝と書を持つマリア像
  受胎告知でマリアは何を読んでいたか
  ヨセフは子をあやし,マリアは本を読む
  読み書きを教える聖母マリア
  読み書きを教える聖アンナ像はイギリス生まれ
  聖アンナはマリアに何を読みきかせたか
  中世の女性とラテン語
  書を読む天国の女王
 3 聖画の女性たちと書物
  時禱書を読む聖女
  書を読む罪の女
  時禱書と貴婦人
  ジャンヌ王妃とカトリーヌ・ド・クレーヴの時禱書
  聖母マリアへの祈り
 4 自分の言葉で語る女性たち
  ビンゲンのヒルデガルト
  神の聖なる器として
  聖ビルジッタの幻視
  クリスティーヌ・ド・ピサンの挑戦
  『薔薇物語』をめぐる論争
  女性の理想郷『婦女の都』
  英訳された『婦女の都』
  「婦女の都」に入城する聖母マリア
 5 聖母像と女性の文字文化
  書を持つ金貸しの妻
  商人の妻が書いたイギリス最古の自伝
  聖霊の器として

ISBN:9784000236492
出版社:岩波書店
判型:4-6
ページ数:280ページ
定価:2900円(本体)
発行年月日:2004年09月
発売日:2004年09月28日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:AGA