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在郷軍人会

良兵良民から赤紙・玉砕へ

著:藤井 忠俊

紙版

内容紹介

在郷軍人は軍と社会をつないだのだろうか

目次

はじめに―在郷軍人は軍服を着た市民なのか
 軍服へのこだわりと嫌悪
 農民か市民か
 良兵良民

第一章 在郷軍人会の出発―日露戦後・在郷軍人会の位相
 帰還兵と尚武会
 在郷軍人組織化の契機
 行政指導か,軍の統制か
 軍隊改革と良兵づくり
 都市化風潮への警戒心
 帝国在郷軍人会設立経過
 陸軍人事と分会長選出問題

第二章 キーワードとしての良兵良民―軍隊的価値観と農村的価値観の相剋
 良兵良民の発想と構図
 何から分会事業を始めるか
 政策における分会基盤の強化,青年会との調整
 青年会との関係,国民の元気
 在郷軍人モラルの創出
 奉公袋―シンボルの創案
 忠魂碑を造る

第三章 市民社会と向き合う―大正デモクラシーへの対応
 米騒動が示唆したものは
 労働争議と在郷軍人
 小作争議の渦中にある在郷軍人
 大正デモクラシーとの接触
 在郷軍人の参政権運動
 協調主義の可能性

第四章 軍の危機感から生まれる国家主義
 良兵良民から国民の中堅へ
 国家主義の温床
 大正デモクラシーの影響は規約改正案に及ぶ
 関東大震災を見る
 国家主義は思想たりうるか
 現役専横の声あがる
 大阪市電ストの場合
 カギとなる青年団対策―長野の乱まで

第五章 規約改正から青年訓練へ―総力戦の新体制
 規約改正の意味
 総力戦をめざす新体制
 青年訓練の制度化
 青年訓練における良兵良民観念
 普選下の政党と分会分会と青年訓練所
 思想善導または国難

第六章 満洲事変―蠢く銃後
 民衆は何を感じたか
 銃後と在郷軍人会の役割
 防空演習
 忙しくなった分会
 上海事変と銃後の増幅
 国難に挑む軍と軍人会指導部
 満洲国建国と武装移民

第七章 国体明徴へ―非常時に運動する在郷軍人会
 その時,不況下の農村分会は
 非常時を駆ける国家主義郷軍団の一例
 どこまでつづくぬかるみぞ
 防空演習の定番
 陸軍パンフレットから国体明徴運動へ
 軍部と郷軍と運動
 二・二六事件と勅令団体への転換
 皇軍の任務に寄与するため

第八章 日中戦争―赤紙の祭りから戦線拡大へ
 在郷軍人の召集つづく
 動員環境の変化
 見送りの構図
 在郷軍人会本部の戸惑い
 在郷軍人の戦い方・特設師団
 未入営補充兵の訓練が急務に
 戦場の軍紀と帰還兵のわびしさ
 警防団の組織にどうかかわるか
 関特演の秘密動員

第九章 在郷軍人は玉砕要員だったのか―アジア・太平洋戦争
 計画動員の破綻から根こそぎ動員へ
 召集の行き詰まりと母数の拡大
 防衛召集と第二国民兵
 奇異な編制・島防衛部隊の補給中隊
 みじめな実戦,沖縄の防衛召集
 国民の戦いとは
 国民義勇隊

終章 在郷軍人会とは何だったのか
 敗戦の風景
 どのように生きていくか
 補償と慰霊の周辺
 日本の在郷軍人会をどう評価するか
 
 あとがき

ISBN:9784000230308
出版社:岩波書店
判型:4-6
ページ数:320ページ
定価:2800円(本体)
発行年月日:2009年11月
発売日:2009年11月27日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JW