出版社を探す

国境の思想

ビッグデータ時代の主権・セキュリティ・市民

著:マシュー・ロンゴ
訳:庄司 克宏

紙版

内容紹介

9.11後、セキュリティの技術とビッグデータの進展は、国境の意味づけ、そしてあり方そのものを大きく変えた。我々はどのように国境を位置づけているのか、国境は個人や社会にどう影響するか、そして脅かされる人権や正義をどのように確保するべきなのか。多数の資料や取材、政治理論から示す国境論。

目次

はじめに——跨境(こきょう)の解剖学

序章
 複眼的に見る——物事を見る二つの方法
 本書の構成

第一章 境界——厚い境界と薄い境界
 構成単位をめぐる政治
 鏡を通して、再訪
 結論


第一部 外縁部

第二章 「壁」とその影——境界地域のセキュリティ
 アメリカにおける外縁部の境界セキュリティ—— 一九八六年〜二〇一六年
 外縁部における境界づくりの傾向——網を拡大する
 周辺における国家の再考
 結論

第三章 一つの境界、二人の主権者?
 越境協力Ⅰ——アメリカとカナダ
 越境協力Ⅱ——アメリカとメキシコ(カリブ海諸国)
 主権、セキュリティおよび領域性——隣人の再概念化
 境界地域の市民権——素描
 結論

第四章 境界共同管理、コスモポリタニズムと帝国の亡霊
 グローバルな問題?
 境界共同管理——規範上の懸念を比較考量する
 結論


第二部 入国検問所

第五章 最小の警察官——ビッグデータ、セキュリティ、そしてアイデンティフィケーションをめぐる政治
 アメリカの入国検問所における国境のセキュリティ——二〇〇一年〜二〇一六年
 検問所セキュリティとアイデンティフィケーションをめぐる政治
 ビッグデータと国家
 ビッグデータと主体
 結論

第六章 主権、セキュリティおよび信頼をめぐる政治
 越境的なリスク評価Ⅰ——トラスティド・トラベラーと情報共有
 越境的なリスク評価Ⅱ——国家間協力と共同配置
 主権と信頼
 共同の検問所——市民と外国人を考える
 結論

第七章 デジタルの暗闇の中へ——データ、グローバルなファイヤーウォール、セキュリティの将来
 グローバルな問題
 規範的考察——グローバルなファイヤーウォールの導入
 データとセキュリティの将来
 結論

監訳者あとがき

著者略歴

著:マシュー・ロンゴ
マシュー・ロンゴ (Matthew Longo)
ライデン大学(オランダ)専任講師(政治学)。オクスフォード大学・セント・アンズ・カレッジ、クレーマン・ジュニア・リサーチ・フェロー(政治・政治思想)を経て現職。Ph.D(イェール大学、2014年)。2016年に政治哲学分野の最優秀博士論文(政治哲学)を選ぶアメリカ政治学会のレオ・シュトラウス賞を受賞。これまでにthe American Journal of Political Science, Democratization, the New York Times, the Los Angeles Times に寄稿、the Washington Post や National PublicRadio で特集が組まれている。
訳:庄司 克宏
庄司克宏(しょうじ・かつひろ)
慶應義塾大学大学院法務研究科教授/ジャン・モネEU研究センター所長。日本EU学会元理事長、現理事。2002年、欧州委員会よりジャン・モネ・チェア授与。2009─10年外務省日EU関係有識者委員会委員。専門は、EUの法と政策、欧州政治、国際組織。
著書に『欧州連合──統治の論理とゆくえ』(岩波新書)、『ブレグジット・パラドックス──欧州統合のゆくえ』『新EU法基礎篇』、『新EU法政策篇』(以上、岩波書店)、『欧州ポピュリズム──EU分断は避けられるか』(ちくま新書)、『欧州の危機──Brexitショック』(東洋経済新報社)ほか。
訳書にイワン・クラステフ『アフター・ヨーロッパ──ポピュリズムという妖怪にどう向きあうか』、G.マヨーネ『欧州統合は行きすぎたのか』(上・下:以上、岩波書店、監訳)ほか。

ISBN:9784000229739
出版社:岩波書店
判型:A5
ページ数:306ページ
定価:4600円(本体)
発行年月日:2020年12月
発売日:2020年12月18日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JPS