古代心性表現の研究
著:森 正人
紙版
内容紹介
古代において人びとは、漢籍や仏典に学びつつ、心をめぐる思索を深め、眼に見えぬ存在を表現する方法を広げていった。心、魂、霊をはじめ、神や鬼などの超自然的存在から、冥界、死生観に至るまで、さまざまな表現の成立とその特質について、漢文資料、和歌や作り物語など、諸文献の記述のもとに幅広く考究する。
目次
前書き
序章 古代心性表現論序説
第一部 〈もののけ〉――霊魂と憑依
第一章 〈もののけ〉と物怪
第二章 〈もののけ〉と霊物――源氏物語の読解に向けて
第三章 〈もののけ〉現象と対処をめぐる言語表現
第四章 〈もののけ〉の憑依をめぐる心象と表現
第五章 紫式部集の〈もののけ〉表現
第六章 源氏物語「夕顔」巻某院の怪――それは〈もののけ〉ではない
第二部 鬼――外部と内界
第一章 霊鬼――今昔物語集の名指し
第二章 鬼の手――外部の形象
第三章 心の鬼の本義
第四章 門と車と心と鬼をめぐる贈答歌――基俊集と康資王母集
第三部 龍蛇――罪障と救済
第一章 聖なる毒蛇/罪ある観音――鷹取救済譚
第二章 説話に漂う匂い――罪業のしるしと救済の予感
第三章 現在の心と未来の姿――壺中蛇影譚
第四部 翁――聖性と化現
第一章 翁と鏡と物語――大鏡
第二章 瘤の翁の変身――宇治拾遺物語第三
第五部 死――他界像の変容
第一章 大いなる死をめぐる心と表現――涅槃経の文学
第二章 死と冥界の表象
後書き
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