近世文学の境界
個我と表現の変容
著:揖斐 高
紙版
内容紹介
従来の枠組みを広げる新たな近世文学像の提示
目次
Ⅰ 近世人の形象
林家の存立――林鵞峰の「一能子伝」をめぐって
元政――多情多感の行方
大田定吉伝――狂か,仙か,吾れ得てこれを知らず
海棠の花,蘭の香り――近世後期漢詩における夫と妻
Ⅱ 〈私〉の表現
風雅の解体――私意と月並調の成立についての試論
賀茂真淵の和歌添削――自筆本『賀茂真淵評草廬和歌集』を通して
幕末歌人における堂上と古学――石野広通の『大沢随筆』から
『贈三位物語(つくし舟)』論――未刊の翻案雅文体小説はどう書かれようとしたか
「死首のゑがほ」の主題
近世山水画の視点
Ⅲ 文雅と日常
江戸文人の武蔵野――原野から郊外へ
近世の文人サロン
旭山片影
一 安永期聖堂儒者の日記から
二 『漫遊文草』――儒者の旅
三 平沢旭山年譜稿――明和五年以降
文人随筆三題
一 大田南畝の『一話一言』
二 藤堂梅花と『老婆心話』
三 竹内雲濤の『雲濤談海』
大田錦城における遊蕩と文学――「七哀詩」と『赤城梅花記』
江戸文人の遊歴と料理
饕餮侯羽倉簡堂のこと
Ⅳ 近世と近代の重層
幕末の欧米見聞詩集――『航米雑詩』と『環海詩誌』
明治漢詩の出発――森春濤試論
詩人としての中村敬宇
改行論――近世長歌と明治新体詩のはざま
和歌改良論――新体詩と長歌改良そして和歌革新をめぐって
近代作家の江戸
一 荷風と江戸風景
二 石川淳と江戸文学――書かれなかった蜀山人論
初出および改題・改稿について
あとがき