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岩波ブックレット 633

「個性」を煽られる子どもたち

親密圏の変容を考える

著:土井 隆義

紙版

目次

一 親密圏の重さ,公共圏の軽さ ―― 子どもの事件から見えるもの ――
 1 親密圏における過剰な配慮
   佐世保の事件から/「親友」という関係性/友だち関係の重さと不安
 2 公共圏における他者の不在
   少年による凶悪犯罪の実態/「装った自分」から「素の自分」へ
 3 「つながり」に強迫された日常
  過剰な配慮と無配慮/蔓延する「優しい関係」/現代的な「いじめ」の特徴

二 内閉化する「個性」への憧憬 ―― オンリー・ワンへの強迫観念 ――
 1 生来的な属性としての「個性」
  素の「キャラ」の魅力/衰退する社会的個性志向/社会化のリアリティ
 2 内発的衝動を重視する子どもたち
  〈善いこと〉から〈良い感じ〉へ/生理的感覚としての「自分らしさ」/断片化した自己のパラドクス
 3 「自分らしさ」への焦燥
  オンリー・ワンへと煽られる子ども/歴史感覚の欠如と「感動」志向/個性に対する欲望の無限肥大

三 優しい関係のプライオリティ ―― 強まる自己承認欲求のはてに ――
 1 「自分らしさ」の脆弱な根拠
  ジャイロスコープを欠いた「個性」/強まってきた自己承認の欲求/「見られていないかもしれない」不安
 2 肥大化した自我による共依存
  〈良い感じ〉の関係/共依存から派生する暴力/ジェンダーを反映した関係性
 3 純粋な関係がはらむパラドクス
  コミュニケーションの困難な時代/純粋な関係への期待値の高さ/「心の教育」に潜在する問題

 引用文献

ISBN:9784000093330
出版社:岩波書店
判型:A5
ページ数:64ページ
定価:580円(本体)
発行年月日:2004年09月
発売日:2004年09月07日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JBS