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心をつくる

脳が生みだす心の世界

著:クリス・フリス
訳:大堀 壽夫

紙版

目次

 まえがき
 謝辞

プロローグ ホンモノの科学者は心など研究しない
 心理学者のパーティー恐怖症/ハードな科学とソフトな科学/ハードな科学は客観的・ソフトな科学は主観的/大きな科学はソフトな科学を救えるか?/心の活動を計測する/心は物理現象から生まれるか?/私はあなたの心が読める/脳はいかに世界を創造するか

 第1部 脳の作る錯覚から透かし見る

第1章 脳の損傷例を手がかりとして
 物理世界を感じること/心と脳/脳がわかっていないとき/脳はわかっているが心に伝えないとき/脳が嘘をつくとき/脳の活動からどうやって誤った知識が作られるか/あなたの脳に嘘をつかせる方法/経験の現実性をチェックする/どうやって何が現実かを知るのか?

第2章 正常な脳が世界について語ること
 意識という錯覚/脳は隠す/脳は歪める/脳は創造する

第3章 脳が身体について語ること
 優先的アクセス?/境界はどこに?/自分のやっていることがわからない/コントロールするのは誰か/私の脳は私抜きでも完全に動作する/脳の中の幽霊/私にはどこも悪いところはない/誰がそれをやっているのか?/どこに「あなた」はいるのか?

 第2部 脳のやり方

第4章 予測によって先んじる
 報酬と罰のパターン/脳はどうやって私たちを世界に埋め込み,そのあとで私たち自身を隠すのか/コントロールしているという感覚/システムが破綻するとき/世界の中心にいる見えない行為者

第5章 私たちが知覚する世界とは現実と対応した幻想である
 脳は物理世界の知覚を容易に創り出す/情報革命/賢い機械は実際に何ができるのか?/情報理論の問題/トマス・ベイズ牧師/理想のベイジアン・オブザーバー/ベイジアン脳は世界のモデルを構築する/この部屋にはサイがいる/予備知識はどこからくるのか?/動作は世界について教えてくれる/知覚しているのは実際の世界ではなく脳内の世界モデルである/色は世界ではなく脳にある/知覚とは現実と対応した幻想である/人は感覚の奴隷ではない/では何が現実か知るには?/想像の世界は退屈の極み

第6章 脳はどうやって心をモデル化するか
 生物学的運動――生き物の動き方/運動はどのように意図を明らかにするのか/模倣/模倣――他者の目的を理解する/人間とロボット/共感/動作主体としての経験/特権的アクセスの問題/動作性の錯覚/自分以外の動作主体という幻覚

 第3部 脳と文化

第7章 心を共有する――脳はいかにして文化を創造するか
 翻訳における問題/意味と目的/逆問題の解をもとめる/予備知識と先入観/彼は次に何をする?/他人は伝染する/話すだけがコミュニケーションではない/教えるということは模倣すべきものを実演するだけではない/コミュニケーションの輪を閉じる/フォーク・ハンドルズ――二人のロニーが(ゆるゆる)輪を閉じる/輪を完全に閉じるには/知識は共有できる/知識は力なり/真実とは

エピローグ 私と脳と
 クリス・フリスと私/脳内に意志を探す/トップ・ダウンのコントロールのトップはどこか?/ホムンクルス/この本は意識について書いたものではない/なぜ人はよくしてくれるのか(公平にあつかわれている限り)/錯覚すらも責任がある

 訳者あとがき
 図版出典一覧
 証拠(参考文献一覧)
 索引

著者略歴

著:クリス・フリス
クリス・フリス(Chris Frith)
1942年生まれ.ロンドン大学ユニバーシティカレッジ神経学研究所ウェルカムトラスト脳イメージングセンター名誉教授(神経心理学),オーフス大学ニールス・ボーア客員教授職.
訳:大堀 壽夫
大堀壽夫(おおほり としお)
東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻准教授.言語学専攻(意味論,機能的類型論). 著書に『認知言語学』(東京大学出版会),訳書にウェイリー『言語類型論入門』(岩波書店),トマセロ『心とことばの起源を探る』(共訳,勁草書房)などがある.

ISBN:9784000063128
出版社:岩波書店
判型:4-6
ページ数:320ページ
定価:2600円(本体)
発行年月日:2009年05月
発売日:2009年05月28日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:VFD