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医療費統計の基本分析

著:村山令二

電子版

内容紹介

日本の国民医療費45兆円超の適正化をいかに進めるか。
電子レセプト・データに対する5要素分析に基づいて、日本における疾病・病気の受診発生・治療経過とその負担状況の実像を描き出す。
日本の国民医療費は、2019年度調査では44兆円を超えている。内訳は、患者負担5兆円、保険料22兆円、公費負担17兆円になる。人口の高齢化、医療の高度化などにより医療費の増加が続き、2022年度に確実に45兆円超と見込まれるなかで、保健事業・医療提供体制も関わって、その適正化が進められている。そのためには、医療費の詳細な内訳を示すデータの収集と、保健事業や医療提供体制も対象とした分析が必須である。
本書で分析対象とするレセプトとは、病院・診療所を受診した際にかかった医療費が示された診療報酬明細書・請求書である。レセプトには、治療のためにどのような項目でどれだけの医療費がかかったのかを表す明細とともに、患者・医療保険者・公費による負担の状況が示されている。
現在ではレセプトは電子化され、全国すべてのレセプトを集積したNDB(レセプト情報・特定健診等情報データベース)が構築され、分析が可能となっている。
本書では、電子レセプトとして収集されたデータに対して、レセプト件数、受診日数、医療費を用いた従来の3要素分析を発展させ、月の暦日数と合計特殊再診率という2つの統計を加えて疾病・病気の発生数、状態、期間などを得る5要素分析を行うことによって、がん、循環器系疾患等の疾病別の状況、年齢階級別や都道府県別の医療費の状況などの日本の医療の現状を、保健事業・医療提供体制を対象とした分析にも用いることができる統計として表す方法を示す。
「第I部 レセプト基本統計と5要素分析の公式」は、理論編である。医療保険制度のあらましとレセプトの概要、レセプト基本統計、3要素分析、5要素分析について示す。
「第II部 5要素分析を用いた医療・介護等の分析の実例」は実践編である。疾病別統計、都道府県別統計、保健事業、介護保険や医療提供体制への応用例などを示す。

目次

はじめに
第I部 レセプト基本統計と5要素分析の公式
 第1章 レセプト基本統計とは何か
 第2章 1人当たり医療費の3要素分析とその課題
 第3章 5要素分析の基礎となる統計の考え方
 第4章 5要素分析の公式とその簡便な導き方・3要素分析との関係
 第5章 一般の場合の5要素分析の公式の導出――恒等式の利用
 第6章 5要素分析による患者統計──保健統計における患者統計との比較検証
第II部 5要素分析を用いた医療・介護等の分析の実例
 第7章 全国の男女別・年齢階級別外来の5要素分析
 第8章 全国の年齢階級別・入院/外来別・疾病大分類別分析(その1)──がん(悪性新生物)、循環器系疾患
 第9章 全国の年齢階級別・入院/外来別・疾病大分類別分析(その2)──精神疾患と妊娠・分娩および産じょくの入院医療費
 第10章 都道府県別に見た入院外医療費と後期高齢者入院医療費の5要素分析
 第11章 全国の介護保険の施設サービスの5要素分析
 第12章 年齢調整と地域医療計画・地域医療構想における病床数の5要素分析
 第13章 入院における診療行為に関する5要素分析の例
 第14章 外来における診療行為に関する5要素分析の例
 第15章 5要素分析と最近の医療・医療保険・介護保険分野の動向の関係
参考資料

JP-eコード:4923155201001100000B
出版社:東洋経済新報社
コンテンツ公開日:2023年06月21日