悪癖の科学――その隠れた効用をめぐる実験
著:リチャード・スティーヴンズ
著:藤井留美
内容紹介
悪癖にも隠れた効用がある?!――いっぷう変わった科学研究に着目した心理学者が、研究成果の数々をユーモラスに紹介する。1983年、アメリカ泌尿器科学会の年次総会でのこと。
当時60歳のG. S. ブリンドリー教授の演題は「勃起不全の血管作動性療法」だった。
ペニスに薬剤を注入する新たな治療法を講演する予定だったブリンドリー教授は、
演壇から舞台前方に歩み寄ってパンツを下ろし、自身の研究結果として、
「腫脹の程度をじかに確認できる」機会を提供しようとしたのだ。
ところ変わってイギリスの某大学、とある研究室からは、
「ファック、ファック、ファック……」という声が聞こえてくる。
これは本書の著者リチャード・スティーヴンズの研究室で、
汚い罵り言葉が痛みへの耐性を高めることを実験していたのだった。
人間は未だ謎の宝庫だ。
翌朝が大事な会議でも深酒し、セックスに心をかきみだされる。
刺激を求めてバンジージャンプをする。「クソ野郎!」と叫んで高速道路をかっ飛ばす。
――人間は、なぜ世間が眉をひそめるようなことをついやってしまうのか?
――わからない……なぜなのか……知りたければ実験だ!
世の中の謎を解こうと、世界中の研究者たちが日夜実験に没頭している。
イカのセックスを観察したり、ラットの勃起回数を計測したり、自らスカイダイビングまでする。
主流科学の陰にひっそりと咲くちょっと変わった科学研究に着目した心理学者が、
一部の悪癖には隠れた効用があることを示す研究成果の数々をユーモラスに紹介する。
目次
第1章 相手かまわず
古い道具の新たな用途|男の気持ちになる/女の気持ちになる
しかめっつらをしよう|甘美な痛み|セックス、セックス、またセックス
セックスでストレス対策|赤の魅力|男はそれを断れない|気持ちの運動
第2章 酒は飲め飲め
医者と禁酒法|アルコール依存症なんてない|ラット御殿|あなたの健康
アイデア合戦|笑顔のキャッチボール|イケてる俺さま|翌朝の後悔
ラストオーダーのお時間です
第3章 チョー気持ちいい
それはいつなのか?|それは誰なのか?|戦うか、逃げるか
おしっこ、うんこ、ファック……(以下自粛)|悪態で罰金
アイスバケツ・チャレンジ|助けを求めて|避けられない悪態|まとめ
第4章 アクセルを踏みこめ!
あなたはスピード狂?|ナイジェル・マンセルにでもなったつもり?
F1ドライバーと臨床心理士|どこ見て走ってるの?|うまいやつほど危ない
スピードと衝突事故|スリルは終わらない|退屈なドライブ|台湾のバイク野郎
ドライブの終わりに
第5章 恋をしましょう
恋とタバコ|陽気なサクラ、不機嫌なサクラ|恋とめまい|平均の法則
恋ってなあに?|恋わずらい|道ならぬ恋の果てに|僕が64歳になっても
新しい趣味|恋愛の効用|愛が二人を分かつまで
第6章 もっとストレスを!
一〇〇〇、二〇〇〇、三〇〇〇、チェック!|危険を求めてやまぬ者
フリーフォールの記憶|空の閃光|これが重力だ|ナチュラル・ハイ
ロシアの山|笑顔をつくれば楽しくなる|ユーストレスを活かす
第7章 サボりのススメ
デイドリーム・ビリーヴァー|退屈な仕事|やる気のチャージ|ありあまる時間
タイクツって何だろう?|講義から洗濯まで
ターンオン、チューンイン、ゾーンアウト
一五三六個の計算問題|CDコレクター|おバカなまとめ
第8章 ダイ・ハード
フランス人がイタリアを訪れる|なくした歯の話
あなた、いま死にかけましたか?|世にも奇妙なボード|超科学 VS 科学
死に瀕して生きることを知る|最高のクリスマス休暇|これでおしまい
JP-eコード:31401141000000000000
。出版社:紀伊國屋書店
。コンテンツ公開日:2023年10月23日。