講談社文庫
とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起
著:伊藤比呂美
電子版
内容紹介
故郷をおん出て何十年、他国に流離で十何年、親も夫も子も危機で、死と老いと病とが降りかかる。それでも生き抜く伊藤しろみ。この苦が、あの苦が、すべて抜けていきますように。本書は詩であり、語り物であり、また、すべての苦労する女たちへの道しるべである。(講談社文庫)
目次
伊藤日本に帰り、絶体絶命に陥る事 母に連れられて、岩の坂から巣鴨に向かう事 渡海して、桃を投げつつよもつひら坂を越える事 投げつけた桃は腐り、伊藤は獣心を取り戻す事 人外の瘴気いよいよ強く、白昼地蔵に出遇う事 道行きして、病者ゆやゆよんと湯田温泉に詣でる事 舌切らず、雀は婆を追い遣る事 梅雨明けず、母は断末魔に四苦八苦する事 ポータラカ西を向き、粛々と咲いて萎む事 鵜飼に往来の利益を聴きとる事 耳よ。おぬしは聴くべし。溲瓶のなかの音のさびしさを。の事 秋晴れに浦島の煙立ち昇る事 瘤とり終に鬼に遇い、雀の信
JP-eコード:0627692300100011000P
。出版社:講談社
。コンテンツ公開日:2014年03月07日。